LEONkei

ホーリー・モーターズのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
3.5
全ての人々は大なり小なり自分の気持ちを抑えひた隠し、社会に一歩踏み出せば何かを演じながら生きている。

本音で生きるなんて簡単にできる筈もないが、日々猿芝居を繰り返し日常を送る。

主人公〝オスカー〟の仕事(?)は奇妙だ。

ある時は特殊スーツを着込んでモーションキャプチャのモデルを演じ、ある時は変質者のホームレス。

時には死期が近づく富豪の老人になったり、思春期の娘を心配する良きパパを演じたり…などなど、高級リムジンの中で特殊メイクを繰り返し変幻自在に本気でなり切り人々と接するミッションを繰り返す。

何故?何のために?

これだけだと話の筋が見えないだろうが、ある〝オスカー〟の奇妙な1日の出来事の物語。

演じる役柄によっては滑稽で不可思議で有りながら、それぞれ演じる対象が違う事で小さな小さなドラマがいくつにも連鎖する。

何故、〝オスカー〟は演じ続けるのか。

たぶんこの世で最も美しいモノとは、人々が日々暮らし生活する1つ1つの日常の行為こそが魅力的に感じるのではないか。

当事者にとっては気づかずそれどころではないだろうが、楽しい事も悲しい事もあらゆる出来事に外部から覗きんだらワクワクドキドキな魅力に写ることもある。

そこに首を突っ込み当事者と交わったなら、不謹慎だが楽しいゲームなのかもしれない。

劇的な運命の出会いや思いもつかないサプライズなどいらない。

普通に生きている人すべてにドラマがある。

在り来たりの日常こそ、最も美しい行為だと自分も思っている。

〝オスカー〟の1日の最後の最後のミッションは最も奇妙で不思議だが、在り来たりな日常の中にも理解不能な出来事は世の中にはある..★,
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