つじくん

17歳のエンディングノートのつじくんのレビュー・感想・評価

17歳のエンディングノート(2012年製作の映画)
5.0
「自分を大切にする」というのは、決して健康を突き詰めて慎ましく長生きする事ではない。悔いが残らないように生きる事だ。
白血病で死が間近に迫っている少女テッサは[やり遺した事リスト]を消化していく為に、親友のゾーイと行動する。
ドラッグ、万引き、様々な“悪い事”に手を出して気分を晴れさせていくテッサの行動は、“病気”ばかり見て自分自身を見てないような親への苛立ちからも来ているのだろう。
しかし、大切な娘に一秒でも長生きして欲しい。何か、何か奇跡が起きて病気が明日にでも治るかもしれない。そう想い娘を『大切』にしようとする親も間違ってなどいない。

自分の為に残り少ない人生を使うと決めたテッサと、親の為に生きようとしてる少年アダム。
お互いの寂しさと優しさに惹かれ合い、寄り添い合っていく。

台詞の一つ一つもよく考えられていてニヤッとする。

自分が死んだ後の事を心配していたテッサは最期の最後まで泣かなかった。自分が消える事で遺された人達のことを、自分の苦しみ痛みよりもずっとずっと我慢していたのだろう。

ダコタ・ファニングの可愛さ綺麗さだけじゃなく、この映画には生きる光の美しさが描かれている。
「泣かせる為に」じゃなく「生きる為に」描かれた映画だ。
つじくん

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