ベルトルッチ監督といえばラストエンペラーに暗殺の森といった色彩の映像が特徴的だが本作は装飾を削ぎ落とした凍てつくような美が際立つ。車椅子に座ったままこれを撮ったベルトルッチ、地下室で羽ばたくときを待つ彼らの姿は監督の願いと心情そのものなのではないだろうか。近親相姦を匂わせる姉弟と密室というのはドリーマーズとよく似ているが本作は思春期の終わりと解放をよりシンプルに描き出している。スペース・オディティに乗せてのダンスシーン、飛べない天使はゆっくりと歩きだす...孤独の共鳴と静と動の揺れ動きを審美的に映すのは彼の手腕だ。美しい青春物語だった。