ノッチ

パコと魔法の絵本のノッチのレビュー・感想・評価

パコと魔法の絵本(2008年製作の映画)
4.0
ちょっと変わった人たちが集まる病院。 

病院一の嫌われ者・大貫が、パコという少女と出会い、少しずつ変わっていく。 

記憶が1日しかもたないパコのために何かをしてあげたいと、病院のみんなとお芝居をすることに。

我侭で孤独な老人と清らかな心を持った少女の交流をシニカルに描いたブラックなファンタジー映画。

原作は、後藤ひろひとの舞台「MID SUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」。

事故の後遺症で記憶が1日しか持たなくなった少女パコ。 

その事故で両親が亡くなった事もわからないで、ママがくれた絵本を毎日楽しそうに読んでいる。 

もうこの設定だけで泣きそうになる。

とりあえずパコ演じるアヤカ・ウィルソンがかわいい。

かわいい。

めっちゃかわいい。 

パコの「きゃーっ」って悲鳴がいい。 

悲鳴ってけっこう難しいと思うんだけど、かわいくて、不自然に自然で、すごくいい。 
(サド的な意味ではないです。) 

とにかく美人でかわいくて、絵本を読む言い方も幼くてかわいすぎです。 

他はメイクが濃すぎて誰かわからない人もいるので、観る前に誰が何役か知っておいた方が面白いかも。 

妻夫木聡と小池栄子はあとでわかったし。

他にも阿部サダヲ、土屋アンナ、加瀬亮、劇団ひとり、國村隼、上川隆也などなど、みんないい味を出して見事なハーモニーを醸し出してます。 

そして偏屈なクソジジイを演じる役所広司の芝居があったればこその作品です。 

きちんとお芝居ができる人がいるからこそ、ひとつ間違えばコントになってしまいそうな作品を締めてくれるのです。 

内容は、大人になってからの人間関係も、子どもの頃に読んだ絵本と、本質は変わらないのかも知れないと思わせてくれる優しいお話でした。

ハイテンションなコメディ満載でテンポよく笑わされる一方、楽しいシーンで泣けてくるという稀有な映画。 

映像がキレイすぎて切なくなる。

スピード感があっていいけれど、時にじっくり魅せる部分もあって、上手なつくりだなぁと思いました。 

ファミリー向けとしてオススメされてたけど、かなり苦味もあって、大人こそが喜びそうなファンタジーだった。 

ただ、早すぎて何言ってるかわからないことも多々あってもったいない感じも 

あと本人のせいではないけれど、阿部サダヲがちょっとでしゃばり過ぎな感が…。

でもまぁ奇想天外ではあるけれども、素敵な作品です。 

誰かの心に何かを届けたいと思ってるあなた、必見です。
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