調伏系V魔虚羅

プッシャー2の調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

プッシャー2(2004年製作の映画)
4.5
プッシャーと呼ばれる麻薬密売人のトニーは、出所を機に今度こそ堅実に生きようと考えていた。そんなある日、彼は知人のシャーロットと自分の間に子供がいたという事実を知り、ショックを受ける。さらにトニーはコペンハーゲンの裏社会を牛耳るボスである父に会いに行くと、思いも寄らないことを聞かされるのだった。

暴力と哀愁が渦巻く漆黒の闇。コペンハーゲンの裏社会を舞台に、極限の借金地獄に追い詰められた男トニー。後頭部には「RESPECT」と大きくタトゥーが彫られているものの、誰からの尊敬も受けず、周囲の人間からはクズだとか役立たずだとか口を開けば罵られる。なんとも皮肉めいたタトゥーなのだろうか。そしてそのまま惰性で全てを流れに身を任せ、何も成し得ない人生を送る。そんな男が初めて自分自身の手で下した、暴力による過去の自分との決別と新たな人生へ踏出すという決断。一筋の希望の光さえ垣間見たラストは、底辺に生きる男の不器用な生き様が闇を照らしたようだった。
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