カツマ

プッシャー2のカツマのレビュー・感想・評価

プッシャー2(2004年製作の映画)
3.9
クズ野郎たちがゴミ箱の中を這いずり廻るかのような狂気のドラッグワールド。そんな世界を必死に生きる野郎どもの果てしなき乱舞、プッシャーシリーズの2作目。
1作目ではアホの極みの末に途中退場となった最高で最悪なキャラクター、トニーことマッツが今作の主人公。最近は完全にイケオジ世界代表の座に君臨しているマッツだが、やはり彼に似合うのは幸薄役。今作でも基本的には最低野郎なのだが、どこか憎めない絶妙な愛らしさが炸裂していて、いつも曇り空を見上げているような目の濁り具合こそがマッツの本領発揮。
1作目のフランクは真からクズだったが、トニーは実はそんなに悪い奴じゃない、と思える物語です。

フランクとの何やかんやの騒動で刑務所にぶち込まれたトニー。出所してみるも、彼には行くあても無く、裏世界で幅をきかせる父親を頼りにするしかなかった。
そこで父親のために盗難車をプレゼントしようとしたトニーだが、逆に激しく叱責される始末で、更生する雰囲気など全くなかった。
しかし、そんな彼に、かつて寝た娼婦との間に子供が出来ていることが発覚。トニーはとりあえず人生をやり直そうとするも、友人のカールの頼みに負けて薬物取引の現場に居合わせてしまい、またもや騒動に巻き込まれることに・・。

トニーは実は父親に愛されたかったり、友達の頼みを断れなかったり、放置されている赤ん坊を見ていられなかったり、本当は心優しい人間。なのに、周りの騒動に巻き込まれ続けて人生はどんどん狂っていってしまう。そんなトニーが主人公だから、1作目よりも優しいラストシーンが凄く好きでした。

ちなみにこの2作目にはフランクは全く出てきません。しかし、プッシャー界の首領ことミロは再登場。このミロが主人公となる3作目は果たしてどうなる?主人公がみな堕落していくこのシリーズ、順番に制裁を受けていくかのような負の連鎖の果てはあるのか?
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