さすらいの旅人

容疑者X 天才数学者のアリバイのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

3.8
日本版の韓国リメイク作品。CS/チャンネルNECO視聴。

本作はリメイク版らしく、言葉は悪いが「いいとこ取り映画」となった。
これは決して出来が悪いという意味ではなく、逆に成功した作品と言える。
原作内容はほぼ同一であるが、そのままの焼き直しではなく、塾考を重ねてシナリオを練り良作とした。

まず、主役のガリレオ湯川を登場させなかった。これが功を奏して、主人公と隣人女性、そして警察の三者に絞れた分かりやすい構図になったこと。
また、ラストの隣人女性の告白を封じて、主人公には理不尽な扱いとなったが、主人公の気持ちを優先し、より隣人女性に対する愛情を強めた切ないラブストーリーへと転じたこと。バスでの別れのシーンは涙を誘う名場面になった。

主人公役(リュ・スンボム)は女性には奥手な素朴な数学者を好演、隣人女性役(イ・ヨウォン)は不遇な境遇だが相手を思いやる事を忘れない聡明な女性を見事演じた。

あと、テーマ曲がミッシェル・ルグランがアカデミー音楽賞を取った、「おもいでの夏」に非常によく似ていたのが印象的であった。