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レーズン・イン・ザ・サンのkissenger800のレビュー・感想・評価

レーズン・イン・ザ・サン(1961年製作の映画)
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ブロードウェイ演劇(1959-1960)の映画化で、デンゼル・ワシントンも2014年リバイバル時に主演した名作の誉れ高い……までは知っていたのですが、いやあ重層的な脚本で見ごたえある。

あんまり大きな声で言うことでもないんですがシドニー・ポワチエ、演技力そのものは実はそんなに抽斗多いわけでなく、手持ちの武器で奮闘している感はいつもの通り。
なのですが、妻も子もいるけど何者にもなれない自分にイヤケがさして久しい日々、誰も俺のことを分かってくれない嫁はもちろん母さんも。ってものすごく甘い考えのアダルトチルドレンが突如舞い込んだ幸運に……みたいな王道の展開、古びませんな。

主人公が自分を第5世代、息子を第6世代と呼ぶところがあるのですが-アフリカから奴隷として強制的に連れて来られた祖先から数えてなのはいうまでもありません-『ブラックパンサー』(2018)のアンチヒーロー、キルモンガーはそれでいうと主人公の孫、第7世代。Segregationから抜け出そうとした祖父、assimilationの渦中だった父、その結果、俺たちはどうなった? という行き場のない/つながっているマイケル・B・ジョーダンの(違う)憤り。
つまり第5第6第7という縦軸のみならず、MCUと20世紀21世紀の現実という横軸も実は連続していることが分かる、そういう映画でした。我ながら真面目な説明。

いやあ、これは腹持ちがいい。食った食った、物語で満腹だ。
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