ウスバカゲソウ

欲望のバージニアのウスバカゲソウのレビュー・感想・評価

欲望のバージニア(2012年製作の映画)
3.5
タフと言うにはちょっと暴力的過ぎる二人の兄とイキがる青臭い末弟の犯罪ドラマ。
ヒルコートお得意のバイオレンスとギャングたちの黄昏を奇妙なバランスで混ぜ込んだ印象。

カンヌでパルムドールノミネートには驚き。
自分は好きだが批評家受けはしそうにないと思った。
本当はもっと長かったんだと思わせる編集、テンポ。
テンポは良いんだけどサクサクし過ぎて軽く流されていってしまう。
意外と分かりやすい構造。
ゲーリー・オールドマンは美味しいカメオで、いかにもオールドマンな悪役をガイ・ピアースが。
ピアースのキャラはビジュアルとか最高なんだが、ヤバいやつなのか情けないのか微妙な感じ。
ラブーフの末弟感は最高。
はまり役。
一方で三兄弟の兄二人が「タフな良いやつ」で終わらず、かなりキツメの暴力を振るうあたりの匙加減がヒルコート。
暴力周りは気合が違うのか緊張感がすごい。
アツアツタール(?)ぶっかけなどフレッシュで嫌な描写が軽く出てくる異様さ。
単純な「あの頃はよかったぜ」的なアウトロー回顧録になっていないのはポイント。

ギャングの黄昏、無法の時代の終焉を描くならやっぱりもっと長い方が良い。
大河ドラマのように。
豪華キャストが泣いている。
今だったら配信のミニシリーズとか向いてる。
とはいえ予想を裏切るハッピーエンドには微笑ましくなる。
そういう意味では軽い気持ちで見れるギャング映画だった。