まっどまっくすこーじ

ブロンソンのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

ブロンソン(2008年製作の映画)
4.8
全くもって意味不明の男の半生を、全くもって意味深長な映画として昇華させた怪作。


イギリスで最も有名な囚人といわれる、マイケル・ピーターソンの最高にサイコな生き様の話であります。

タイトルの「ブロンソン」は、三十数年の拘束生活の中で、69日間だけ娑婆に「出された」時に、昔の囚人仲間がプロモートしている地下格闘試合のファイターネームとしてマイケルに名付けられた「チャールズ・ブロンソン」から来ています。

ちなみにチャールズ・ブロンソンは俳優ですが若い方々は知らないかもしれませんね。
代表作には
「荒野の七人」
「さらば友よ」
「レッド・サン」
「メカニック」
そして今作の中で言及されている
「狼よさらば」。
これはシリーズ化されていて、だんだんただの殺人狂になっていっちゃった感もありますが、今でいうと96時間のリーアム親父みたいな感じです。

私の世代の無双親父といえばブロンソン。
ブロンソンといえば「う~ん…マンダム」。

分からない方はお父さんかお祖父ちゃんに聞いてみて下さいね(^o^)

さて、マイケルはその名を気に入り、チャールズ・ブロンソンとして死ぬことを目標に掲げます。
これからはマイケルではなく、チャールズの呼び名のチャーリーで書きます。
(劇中での呼び名もチャーリーなので)

時計じかけのオレンジを食いまくっちゃったような意味不明・制御不能の囚人チャーリー。

そのチャーリーが振り撒く狂気を「ドライヴ」のニコラス・W・レフン監督が見事に伝えてくれます。

まず、チャーリーの独白のシーンは妄想劇場の形を採っているのが、狂っていて大変宜しい。

それから、刑務所の陰陰滅滅とした雰囲気を皮膚感覚に訴えてくる色の彩度と陰影。

また、精神病院における長回しや引きのショットでチャーリーだけではなく、ぶっ壊れた人々を映し出す。

さらに、BGMの使い方が不穏な空気をさらに濃密にしている。

エンドクレジットで流れる曲が劇中でも流れるのですが、私は今もそのイントロが耳について離れないんですよ(@_@)

レフン監督は「ドライヴ」よりも今作のほうが伸び伸びと撮っている感じがするのは私だけでしょうか…(@_@;)
とにかくレフン監督のセンスが大好きです。


さて、実は本当にレビューしたいのは此処からなんです!! (え~~~!?)


このイギリス最狂の囚人チャーリーを演じるのは…
我等がMAD MAX!! トム・ハーディ!!!

いや、「MAD MAX FURY ROAD」でのトムハなど今作の演技に比べたら、まるでお坊っちゃんだ。
本当のMADなトムハはここにいた!!

まずは今作のジャケットをご覧ください。
予習なしで、この写真だけを観て、瞬間的に「あ~、トムハが出てる~♪」と判る方はどの位いらっしゃるだろうか?

ムッキムキに鍛えた身体にスキンヘッドと口髭。
今作の前後の作品を考えるとやはり凄い役作りだ。
トムハは撮影前にチャーリー本人と面会しているので、それが活かされているのだろう。

冒頭から檻の中をスッポンポンで歩き回るトムハ。
トムハのトムハはボカシで見えないが、充分気合の入った演技の予感。

前述のチャーリーの妄想劇場では舞台俳優も演っていたトムハの本領が発揮され、特に一人二役の場面ではBGMとの相乗効果もあり、その狂気の演技に陶酔してしまいました。

時々、動きが止まったり、表情や仕草など全てが緻密に計算されていて、今までに観たトムハの中で最高の演技力だと思っています。

さらに歌まで披露してくれます。
短い間ですし、獣が唸っている感じですが…

先週レビューした「名もなき塀の中の王」でも書きましたが、裸になってオイルローションを身体中に塗りたくり、完全装備の刑務官達と意味もなく殴りあうトムハは最高にキレてます!!

そして圧巻なのが精神病院で薬漬けにされたトムハの演技。
これで私は一生、トム・ハーディの出る映画を追いかけることが決定しました。


ということで、本作をこのような方々にお勧めします。
*トムハとイカれた車でドライヴしたい方
*トムハに夢の中で騙されたい方
*トムハとリングの上で殴り合いたい方
*トムハにチークダンスで抱きつかれたい方 (これは男性限定で)
*上記を読んで瞬間的に何の映画か判る方


真面目な話、トム・ハーディの演技的潜在能力の高さと、レフン監督の本性を垣間見れる本作は一度は観ておいても損はないと思います。

ちなみにチャーリーはいまだに服役中だそうですが、出てきたらまた映画化されてもおかしくないかも…(@_@;)