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ブロンソンのsouichirouのレビュー・感想・評価

ブロンソン(2008年製作の映画)
3.9
抱腹絶倒。これぞ真の”ジョーカー“であり究極のコメディだった。
ニコラスウィンディングレフンの隙のない緊張感によって演出された映画で、その監督のナルシズムが香る癖の強い空気感には唯一無二の魅力を感じた。
デヴィッドリンチ的な場面もあれば、キューブリック的な画面演出も見受けられ、現代版『時計じかけのオレンジ』との評価にも納得した。
トムハーディ演じる囚人の過剰なまでの邪悪さも無ければ、もちろん善人でもなく、気持ち悪いという言葉が一番似合うかと思えば、馬鹿に出来ないレベルのアートの才能が開花していく後半からは愛嬌にも似た共感を覚えなくもない。
ニコラスウィンディングレフンは確実に囚人を分かりやすい悪人として描く気は全く無いようだ。
彼の如何とも形容し難い存在感に美しいという言葉を与えるべきかどうかは観客次第であろう。
少なくとも私は真剣に笑った。
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