たつなみ

ブロンソンのたつなみのレビュー・感想・評価

ブロンソン(2008年製作の映画)
3.5
『ドライヴ』が素晴らしかったので以前から気になっていた作品。

トム・ハーディの存在感がとにかく強烈。
冒頭から凄まじいインパクトで登場したかと思ったら、後はひたすら暴力に次ぐ暴力の嵐…。
しかもその暴力は全く理解不能。
無謀としか言いようがないのに、何故か戦いを挑んで行く。

ハッキリ言ってこの男に全く共感など出来ないし、絶対に関わりたくない程ヤバい。
でも何故かこの男に惹きつけられる。

彼は人が決めた”枠“に嵌められる事を真っ向から否定し、どれだけ叩きのめされても絶対に折れない。
意味不明で全くバカバカしいが、そんな彼の純粋さに心を掴まれてしまった。

この作品は『21世紀の”時計じかけのオレンジ“』とも評されているそうだが、不思議な魅力を持った主人公や、『思いのままに生きることこそ人間だ』というメッセージは確かに似ている様に思う。
(”カルト性“という点でも『時計じかけのオレンジ』の方が遥かに名作だとは思うが)

明暗を上手く使った演出や、血みどろの暴力シーンは『ドライヴ』の作風と同じ。
前述したトム・ハーディの演技は本当に凄まじく、正に怪演というに相応しい。

それにしても何故レフン監督はこの男の物語を作ろうと思ったのだろう?
意味深なセリフの数々もとても気になる。
色々と解説を調べてみたくなった。