Jeffrey

モアのJeffreyのレビュー・感想・評価

モア(1969年製作の映画)
2.8
「MORE モア」

本作はバーベット・シュローダー監督の長編デビュー作で、アメリカの人気女優ミムジー・ファーマー主演の、時代を超えた青春映画の傑作とされていた本作が、この度劇場公開を経て、国内初BD化されたのを購入して初鑑賞したが微妙。映画表現のモラルを超えた作品と言うべきか、映画史から忘れ去られた伝説のアメリカ人女優が見せる楽園のに死の影がさした雰囲気がたまらない。69年カンヌ国際映画祭で、当時世界中に吹き荒れたカウンターカルチャーの象徴とも言うべき「イージー★ライダー」が大きな注目を集め、同じくセックス、ドラッグ、ロックミュージックを前面に打ち出し、既存の映画表現の常識やモラルを超えた1本のヨーロッパ映画に激しい賛否が巻き起こったのが本作でカイエの編集部員を経てエリック・ロメール作品のプロデュースをしてきたバーベット・シュローダー監督作品。

ブロンドのショートカットが鮮烈な主演女優は、そのナチュラルでイノセントなイメージとは相反するバイセクシュアルの麻薬中毒者を演じ、大胆なフルヌードと合わせ、各国でセンセーションを巻き起こしだそうだ。プログレッシヴ・ロックバンド、ピンク・フロイドが初めてサントラを手がけたこの作品は、欧米ではカルトクラシックとみなされており、カンヌ国際映画祭2015年ではデジタル復元版が上映されていたそうだ。地中海の楽園イビサ島を舞台に、麻薬中毒者たちの末路を破滅的に描いた青春ドラマ。さて、物語はドイツ人の若者ステファンは、学業をなげうって自分探しの旅に出た。ヒッチハイクでパリにやってきた彼は、ある晩、パーティーで見かけた魅力的なアメリカ人女性、エステルに一目惚れする。地中海のイビサ島に旅立った彼女を追って、ステファンもまた島を訪れる。

再開した2人は、眩しい陽光と青い海に囲まれた大自然の中で愛し合い、自然で幸せな毎日を過ごす。だが、エステルが隠し持っていたヘロインが、この世の楽園を失楽園と変えていった…と簡単に説明するとこんな感じで、どっかしらミケランジェロ・アントニオーニの作品を見るかのようなシュルレアリズム感たっぷりのオープニングから始まった。
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