一般にはミッキー・ローク主演『バーフライ』の監督バーベット・シュローダーとして知られるバルベ・シュローデルの長編第一作。
ヒッチハイクの旅をつづけるドイツ人の学生ステファンがパリで出会った奔放なアメリカ人女性エステルを追ってイビサ島にやってくる。自由だけど無軌道で何の保証もない二人の生活が始まる。ステファンはエステルを愛しているが、エステルは薬物をやめられない。初めはそれを止めようとしていたステファンも徐々に薬物にはまっていく。
おそらくは、1968年の五月革命後の目的を失った時代の空気みたいなものが背景にあると思う。
薬物に関する描写でセリフのいくつかが検閲で削除されている。でも字幕では出るので問題はない。
ピンク・フロイドが音楽を担当したことで知られる作品だけど、町の雑踏や車のラジオから聞こえる音に限定されていて、いわゆる映画音楽としてピンク・フロイドの持ち味が生かされているわけではない。そういうのが目的なら、同じ監督の『ラ・ヴァレ』を観ると良いと思う。
全体としてみると、ゴダールの『気狂いピエロ』と共通するところがある。