April01

氷の微笑のApril01のレビュー・感想・評価

氷の微笑(1992年製作の映画)
3.5
シャロン・ストーン演じる小説家キャサリンのバークレー大卒で文学と心理学を専攻、両親の莫大な資産を相続するリッチな才媛というプロファイルが効いている。
豪華な本宅だけでなく海沿いの別荘やスーパーカーを所有し乗りこなす姿はカッコいいし、タバコを吸うシーンだけでなくすべての仕草が絵になる。
確かに悪女ではあるけれど、対するマイケル・ダグラス演じる刑事ニックも彼女に劣らず根っこに悪があるからこそ2人の対決が面白く、次第に善人の皮までもが剥がれて、口調までキャサリンに似てきてしまう様子が恐ろしく、このサイコパス同士の対決にも見える構図が面白さを倍増させている。
悪女に翻弄される男が堕ちて泥沼にハマっていく様子は中毒のようで、2人の間に愛は全く見えない。ただ本能的にハマってしまう、時にそれを愛と勘違いするのかもしれないというありがちな情事の背景がショッキングなストーリー展開で語られる。エロティックな描写はそこに説得力を持たせるために効果的で、わかっていても辞められない、逃れられない怖さが描かれ、であれば真相はあまり重要ではなくて本能的に欲しいものを得るために知らないふりをして捕食される方を選んだかもと考えると、よりゾッとする。

サンフランシスコの街並みと海沿いを走るドライブシーンはアートフレームに入れて飾りたくなるくらい洗練された美しさがあり、陽光に揺れる影を映すシーンなど全編に渡りヤン・デ・ボンの撮影がサスペンスの臨場感を高めている。
April01

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