MASH

ラ★バンバのMASHのレビュー・感想・評価

ラ★バンバ(1987年製作の映画)
2.5
17歳という若さで亡くなったロックンロール歌手のリッチー・ヴァレンスの生涯を追った映画。その衝撃的な終わりに対し、映画は正直言って微妙。決して退屈なわけではないが、監督の力量不足が感じられてしまう作品だ。

テーマ自体は悪くない。特に彼がメキシコ人という部分。メキシコ人ということを隠されてデビューさせられるも、メキシコ人というアイデンティティから「ラ・バンバ」を歌うという。これは非常に彼のアイデンティティに関わることで、映画的な盛り上がりとなる。しかし、この映画はその盛り上がりを活かしきれていない。その他の兄弟間のことなども描いてはいるものの、ほとんど表面上の物になってしまっている。

そして何より問題なのは、主人公であるリッチーの人柄が一切分からないのだ。17という年齢で亡くなったということもあり情報がなかったのだろうが、それならば多少フィクションありでもいいからしっかりとキャラづけすべきだ。むしろ彼の兄の方がキャラとしてはしっかりしており、後半はもはや兄が主人公になってしまっていた。

伝記映画はその人を深く掘り下げなければ意味がない。その人が何をしたかしか描いていなければ、それはWikipediaを読むのと変わらないからだ。まぁこの作品はそこまで酷くはないものの、やっぱり事実を追っているに過ぎない印象を受けた。伝記映画は監督の力量が重要であることがよく分かる。
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