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ハウスメイドの消費者のネタバレレビュー・内容・結末

ハウスメイド(2010年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公、イ・ウニは住み込みの家政婦としてとある一家の屋敷で働き始める
真面目で愛想も良いウニは一家の一人娘、ナミを我が子の様に可愛がり一家の主であるナミの両親との関係も特別悪くはなかった
だがある日、自室で休んでいると一家の父で御曹司のフンに誘われ関係を持ってしまう
そしてその様子を古株の戦費家政婦、ビョンシクに目撃され、その事はフンの妻、ヘラの母に告げ口されてしまう
黙認しておけ、とヘラは母に告げられるが彼女は彼との間に双子を身ごもっている事もあり許せずにいた
そんな中、ビョンシクはウニが妊娠している事に勘付き事態は悪化の一途を辿っていく…
というあらすじのエロティックなサスペンス

物語としては割とありがちな感じだが韓国映画らしい胸糞悪い展開や一見善良だが腹の中が読めないウニの振る舞いが良かった

一方でフンが諸悪の根源であり妊娠発覚後は娘、ナミと先輩家政婦、ビョンシク以外は保身の為にウニに悪質な行動を取り続けたにも関わらず復讐の内容がナミも見ている前でシャンデリアから首を吊り焼身自殺という物だったのは疑問だった
自身を踏み躙った人々に復讐するのだから一家に対してもっと大きな被害を与えるのが普通なのでは?と
子を奪われた事への復讐として自らの死に様をナミに見せる、というのが復讐の本質なのかもしれないがそれだとナミがトラウマを抱えたり両親や祖母に嫌悪感や怒りを示す場面が必要だったと思う
嫌がらせの内容がシャンデリアの掃除中にヘラの母が故意にハシゴにぶつかって転落させる、その後の療養の為に飲んでいた韓方薬に薬を混入した物を混ぜてフンとの子を流産させる、屋敷を出ようとした所を連れ戻されケータイを没収した上で軟禁される、といった身勝手で陰湿な物だったのは良かったんだけど…
特にシャンデリアから転落させたのが病院で検査を受けさせ妊娠をウニに自覚させる為、というのが酷過ぎて韓国らしさ全開で

また一家に長年仕え、ヘラの母のウニについて情報を流したりと表向きは従順でありつつも内心は一家に強い嫌悪感を持ち時にはウニを味方するビョンシクに関しても良心の呵責をもう少ししっかりと描いてくれるとより説得力が生まれたのではないか、と思う

他にはヘラがウニの浮気と妊娠に腹を立て彼女をゴルフクラブで殺そうとするがやめる、という場面があったがあそこはいっそ殴り掛かって2人に格闘させた方が強烈な情念を描けたのでは?というのもある
ウニに味方する気持ちがあるビョンシクがその場を目撃しながら彼女にその事を話さなかったのも少し気になった
ウニへの同情心はあるが屋敷を去る決心もつかない、という心の揺れを表現した物なのだろうがそれなら本格的にウニを味方し自らも屋敷を去る決断をした段階で明かせば良かったのではないか、と
もっと言うとウニと共に一家を破滅させる復讐を企てたりしていれば話がもっと膨らんだんじゃないか?というのも惜しく感じた

またウニ自身に関しても避妊無しでフンを受け入れたにも関わらずその裏に何の計略も無かったのが何だかなぁ…と
後先考えずに一時の欲を満たす為にそうしてしまった彼女には正直同情しきれない所があるからだ
無論、ヘラと彼女の母のウニへの仕打ちはそれでも許される事ではないのだが…

ラストに関しては良かった
ウニを追い詰め自死に至らせたにも関わらず何食わぬ顔で一家は異国へ越して順風満帆な新生活をおくっている、という終わり方は金と権力で何でも解決しようとして大きな過ちにも反省の意を持たない、そんな上流階級の醜悪をよく表現出来ていたと思う

映像美も金持ちの薄汚さも身勝手で引き起こされる悲劇も好きな方向性だったのでもっとエグい展開や描写が観られたらなぁ…というのが全体的な感想
リメイク作品である為、そこまで大きな改変は加えづらいというのは分かるんだけどね…
ただ韓国映画らしい出し惜しみしない性描写は生々しさを与えてて好きだった
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