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ハーヴェイ・ミルクのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

ハーヴェイ・ミルク(1984年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

レズビアンは女性同士がチュッチュする。
ゲイは男性同士がチュッチュする。
バイは男性とも女性ともチュッチュする。
オカマは?ニューハーフは?オナベは?
ヤフーの知恵袋にゲイとおっしゃる方の回答があったが、複雑過ぎて自分には理解不能だった。
こういうときは西川きよしの台詞に限る。
「みんな、仲良うしたらええやん!」

1970年代のサンフランシスコ。ゲイであることを公言し、市会議員に当選したハーヴェイさん。映画を観た限り、ポジティブヴァイブレーションで周囲のみんなを幸せにしたグッドマンである。働く男のファッションブティックはワークマンである。SONYのポータブル音楽プレーヤーはウォ…。

最初はゲイに対して偏見を持っていた頭カッチカチのブロックヘッド達もハーヴェイさんの献身的な振る舞いを見て、あっという間に付録ヘッド(?)である。
ハーヴェイさん、議員として有能だったらしく、サンフランシスコ市の様々な問題の改善に活躍されたらしい(犬の糞、投票機とか)。

それはさておき、映画でべらぼうに強調されていたのは、ハーヴェイさんがとにかくマイノリティや弱者の味方だったということである。
LGBTのみならず黒人、アジア人(ワイらやんけ!)、障害者、老人にも親切にせなアカン!と素晴らしい人格者。

映画序盤に「そもそも何でこの人は市議会議員に立候補したんだろう?」と自分は思ったが、割りと冒頭にハーヴェイさんがその理由を話す。
「サンフランシスコを良くしたいんだ。」
色々な政策の構想があったのだろうけど、マイノリティの地位向上はサンフランシスコ市全体にとって良いことと考えていたと解釈した。

ハーヴェイさん自身がゲイであるため、LGBTの人達には人並みならぬ思い入れがあると見受けられ、カミングアウトの重要さを説く。「コソコソ生きるか同性愛を公言して闘うか」。生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ(最近、ハムレット読んで即効影響受けた)。カミングアウトしてない生活は嘘の生活だと言い切る。ありのままの自分!アナ雪!レリゴー!

本作を観て、キリスト教原理主義の人達がLGBTの人達を許せないというのがよく分かった。同性愛について「人間として不自然だ!」と取り付く島もない。大勢が異性愛だから、それが正しい!というのも、そう言われてみると怪しく、本当は異性愛こそ間違っており、現在の人類は間違いだらけなのではと思うと、日本の独身者増加なんかもあながち良いことだったりするかもしれない。絶滅しちまえ人間なんて!ニホンオオカミに謝ろ!(?)

提案6号の否決とかも見所だったが、インパクト大なのは終盤の暗殺事件である。で、自分は「暗殺」という言葉が引っ掛かった。「殺人じゃないの?何故、暗殺?」字幕が暗殺だっただけかもしれないけど。
ウィキペディアで暗殺を調べると「主に政治的、宗教的または実利的な理由により、要人殺害を密かに計画・立案し、不意打ちを狙って実行する殺人行為(謀殺)のこと。」とあった。
裁判ではダン・ホワイトの殺人に計画性は無いという判決だったと思う。暗殺と言うには計画性があるはずだ。ウィキペディアのハーヴェイ・ミルクのページにも「暗殺」と書いてある。

この映画を観た限りではダン・ホワイトは狂った差別野郎という印象に終わる。市長を殺したのは逆恨みとしても、ハーヴェイさんの殺害は何か「どさくさに紛れて、ついでに憎いあいつも」みたいなものを感じた。
市長を殺すって相当重罪な印象だったけど(要人じゃん)、判決内容的にそうでもないのか知らん?
映画の最後にダン・ホワイトはその後自殺したという字幕が出る。何というか行動が不安定で不憫な人のイメージ。

80年代にありがちなお涙頂戴演出には顔をしかめたが、見応えあるドキュメンタリー映画だった。

「希望のない人生は生きるに値しない。あなたが彼に希望を与えるべきだ。」
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