あさずきとうか

メイジーの瞳のあさずきとうかのレビュー・感想・評価

メイジーの瞳(2012年製作の映画)
4.6
母を見つめる瞳。
父を見つめる瞳。
リンカーンを見つめる瞳。
マーゴを見つめる瞳。
…そしてリンカーンとマーゴを見つめる瞳。

メイジーの瞳から全てが読み取れるほどの素晴らしい描写力。


このお母さんはおそらく自分が子供の頃に、親の愛情を受けずに育った人なんでしょうね。
メイジーが生まれた時に初めて愛というものを知ったものの、自分で経験したことがないため、メイジーを愛していても愛情の注ぎ方がわからない。

一方の父もメイジーを愛してはいるのでしょうが、劇中のセリフを借りれば“6番目に大事”な存在。
自分よりも下なんです。

一番悲しいのは、履き違えてしまっている愛情……しかし確実に存在している娘への愛情を、メイジーが感じ取ってしまっていること。
だから両親への愛情が消えることなく、心がいつまでも繋ぎ止められてしまっている。
自分の感情を解き放つことができず、相手を気遣ったり、気持ちをコントロールしちゃう。
リンカーンが作った料理に手を付けず言ったセリフ「壊したくない」という気持ちが、自らを茨の道へ誘ってしまっているんだと思うとすごく辛いですね。

本質的な解決になっていなくても、ご都合的な展開でもいいから、今この瞬間に幸せを与えてあげて欲しいと祈ってしまいます。