【過去に観た映画】2013.9.29
今では性具として浸透している電動バイヴ。
19世紀のロンドンが舞台で、
そのバイヴの誕生にまつわる実話を元にした映画。
女性のヒステリー症状の治療にと医学治療器具として誕生したバイヴ。
鬱積した女性の感情を落ち着かせるという、
精神的治療の目的で、女性をオルガスムに導く。
映画ではそれを「快楽」として扱ってはいないが、
女性としては、こんなカタチで快楽を味わせられるのって、
どうなのかと思うけど、決して陰鬱ではなく、
むしろコミカルに爽やかに描かれている。
だから、エロさは全くなく、むしろ さわやかな映画。
その女性の性の解放と合わせて、実際の社会的な女性の
解放が同時進行しながら描かれていて、この二つが交わって行くという展開が、良き映画になっている。
そして、何より愛の物語であった。
実際は、人が人に惹かれていくのに時間も理由も関係ないのだけど、ここでは、丁寧にエピソードを重ねて、好きになっていく様子が描かれている。
愛のクライマックスでは、愛の決断に、うるっとくる。
エンドロールでは、実際の歴代バイブの写真が提示される。
重々しかった初代機から、だんだん軽く、使いやすそうになっていく歴史がうかがえる。
パンフの監督インタビューによると、「ヒステリア」というのは元々ギリシャ語では“子宮”
という意味で、心理学上、女性のメディカル部分で
身体の不安定さを示す言葉だったそう。
フランスでは“ヒステリア”というと狂ってしまうという
意味合いになるそうで、フランスではタイトルが違うと。
あるプロの女性のエロ作家さんにお逢いした時、
「男がいなくて、精神的に不安定になった時は、バイヴで、がぁーっとイって、果てて眠るととっても すっきりするの」とおっしっゃていた。
この映画では、セックスの快楽とは全く結びつけていなかったけど、女性の快楽の深さは千差万別。
一度、深いオルガスムを知ると、それが満たされないと、
精神的に不安定になってしまう女性は多いのかもしれない。