RiN

きっと、うまくいくのRiNのレビュー・感想・評価

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
3.1
なんだか最近、はちゃめちゃに評判の高いボリウッド。年間製作本数も世界の他の地域と比べても群を抜いており、人口も相まって興収もなかなかのもの。インドは間違いなく今世界で一番映画好きな国ってことになるでしょう。自国製作の映画への愛は、いやはや羨ましい限りです。
一方でわたしはというと、ボリウッドと言えば「踊るマハラジャ」、いやいや踊りすぎでしょ落ち着いて?という印象しかなく、どちらかといえば苦手なジャンルのイメージでした。しかし周りの映画ファンから、まあ勧められまして。とは言ってもミュージカル苦手だしなあ、しかも170分って結構な長さじゃないですか、重い腰を上げるのに4年余りかかってしまいました。

結論から言いましょう、超上から目線でいきますよ、「成長したんだねボリウッド!」。
インドでも最高峰の大学の工学部を舞台に、三人の大学生の青春を10年にわたって描く青春大作です。特に主人公が、まさにインドの一休さんといった感じでとても魅力的。
いや、踊るんですよ、めっちゃ踊るし歌うし、昭和感満載な安っぽいけど懸命に絢爛豪華を装うセットからのセットだし、コメディシーンは吉本新喜劇なみにベッタベタです。しかし、インドの目を背けてはいけない社会問題、今作で言えば過酷に過ぎる受験戦争やカーストから完全に目を背けない誠意が見えまして、それは「踊る~」から考えるとえらい変わりようだなあと思いました。
うんでもね、世界の映画シーンからしてみれば、まだまだ腹括ってない。そんなぬるいもんじゃないでしょう、インドの「キツさ」ってもっとヤバいでしょう、そしてそのヤバさを描いてる映画作家も絶対いるはずなんだよ、それが、それが観たい。それを世界に打ち出せるようになったら、ボリウッド向かうところ敵なしだよ、政府は敵に回すだろうけど。
今はまだ、たとえばハリウッドで言えば1940年代、スターは歌って踊れてこそ!という時代なんでしょうが、ここからどシリアスに充実した人間ドラマが来るはずだ。待ってる。

しかし170分めいっぱい使って5本分ありそうな内容をガッツリ凝縮して映画作ってくる情熱には圧倒されました。作ってるひとみんな映画大好きなんだな、ってほっこりもしました。
RiN

RiN