kou

きっと、うまくいくのkouのレビュー・感想・評価

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
3.5
《AAL IZZ WELL》
近年、インド映画が日本にも入ってきて、特に今作はその作品の質の高さを物語るものだったと思う。楽しく感動的な映画でありながら、しっかりとしたストーリーと社会問題まで切り込み、そして万人に共通する感動的なメッセージを伝えてくれる作品だった。

インドでは学業における競争意識が学生たちを苦しめて、自殺率がとても高いという。今作でも学業で一番になることだけを追い求める学長が出て来て、主人公たちを苦しめる。今作の主人公ランチョーはそんな学長の統治する世界から外れている人物だ。自由で理論的。彼の言っていることにはっとさせられる。ランチョーのルームメイトの2人は、初めは彼に反感を抱いたり、疑念を抱いたりするも、次第に3人に友情が芽生えていく。

沢山の見方ができる映画であると思うが、僕としてはやはり三人の若者の友情の話として感動した。この映画ほどではないが、大変だった大学時代を思い出す。この映画でも十分に描かれているが、重圧となるのは家族からの期待なのだ。両親を悲しませたくない、という思いが、追い詰めてしまうこともある。そんな時、身近で支えてくれるのは友人たちだ。彼らとほぼ常に一緒にいることでどれだけ救われたことがあるか。とても懐かしい感情をいだいた。人生を生きるのは自分自身だ。好きなことなら情熱を持っていけると言い、友人たちの人生までを変えるランチョーの台詞は誰もがはっとさせられるだろう。

PKの時にも思ったのだが、やはり伏線の回収のされ方がとても良かった。例えば入学の時の先輩からの儀式、宇宙でも使えるペン、ランチョーの名前、全てがクライマックスへ続いていく。とても良く出来た作品だった。
kou

kou