わたしの人生の最高傑作となった。
コミカルでありながらも、現代インド版一休さんとも言えるようなとんちの効いた小ネタの数々、映画を一切邪魔しない歌、鮮やかな色使い、日本語としてもうまい翻訳、過去と現在を行き来しつつ、ミステリーとして進みながら、インドの暗い側面を扱うことで社会への鋭い目的意識を向け、人生は「All is well 」という大きな主題を追いかけている。
どの場面を切り取っても美味しいが、わたしは最後のシーンがお気に入り。伏線をしっかり回収しながらも、二人を取り巻く景色が美しい。
主人公が本来抱えているはずの、親がいなく勉強に苦労していたという闇を、すでに超えている強さを本人に語らせずに描写しているのは見事としか言いようがない。
最後まで味のある悪役を演じた学長、それぞれの強烈なカラーを持つ3人組の演技力には心から感銘を受けた。
久しぶりにがっつりしたヒンドゥー語を聞けて、友達を思い出した。
アラビア語と同じ単語がいくつかあったのが驚き…。
٠إنسان
٠كتاب
いとうせいこうが監修したという翻訳について。
かなり難しかったと思うが、ひらがな・カタカナ・漢字・伸ばし棒(ー)をうまく使い分けることでヒンドゥ語のニュアンスを汲み取っていたと思う。
例えば、ゴーカンを強姦と訳していたならあのシーンと言葉が乖離していただろう。
擬音語などもうまく訳せていたと思う。
様々なエピソードが混ざりながら、全体としてのテーマからブレないからこそ最後まで一気に観きることができた。
まだこの映画を観ていない人が羨ましい!
今日からインド映画の信者となります。