ゼロ

きっと、うまくいくのゼロのレビュー・感想・評価

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
5.0
インド映画でおすすめの作品は?と聞かれたら、私はこの作品と答えます。

表題の「きっと、うまくいく」は、主人公のランチョーが言うモットーだ。作中では「Aal Izz Well」と歌と共に、その言葉は多く出てくる。

映画のポスターを見ると、バカっぽい3人がいて、インド映画で171分と聴くと謙遜してしまう。私も前評判が高くなかったら、スルーしていた作品だった。

この映画には、インド映画の全てが入っていた。インド映画では“ナヴァ・ラサ”と呼ばれる9つの感情があり、シュリンガーラ (恋愛)、ハースヤ (笑い) 、カルナ (悲しみ) 、ラウドラ (怒り) 、ヴィーラ (勇敢) 、バヤナカ (恐怖) 、ビーバッア (嫌悪) 、アドゥブタ (驚き) 、シャーンタ (平穏) の9つを指す。その全てが本作品にはあり、全てが脇役ではなく、主役であった。

コミカルなシーンもあるけど目に引くのはシリアスなシーン。生まれた瞬間から医者かエンジニアになれと親から言われ、大学に入っても競争社会で詰められ、自殺をする人がよくいる現実。貧富の差は凄まじく、生きるということがどれだけ大変なことで、どれだけ尊いことかを教えてくれる。

物語としては、過去と現実を行き来して、ある真実が明かされる。それはミステリー調でもあり、3人を知るという意味ではロードムービー的な映画でもある。見方としては、コミカルに観ることもできるし、シリアスに観ることもできる。

最後まで観終えた時に、ガツンとした何かが心に残った。映画を知るきっかけの1つに予告編があるが、本作品の予告編は、おバカに振っていて、作品の核を上手く伝えていない。

おバカであり、泣くこともあり、驚きもあり、安堵もある。全ての感情を試される作品は、なかなかない。騙されたと思って、一度、観て欲しい。

きっと、あなたの世界は、うまくいくこと間違いなしだ。
ゼロ

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