はな

ブリングリングのはなのネタバレレビュー・内容・結末

ブリングリング(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

この監督ならではの、パステルカラーのおしゃれインテリアとか、自宅内迷子になりそうな有名人の豪邸とか、腐った顔しても顎シャクれても何してもカワかっこいー不良エマとか、分かりやすい見どころもあるのだけれど、何よりこっそり挿入されてるジョークの黒さにおののいた。題材やビジュアルの作り方からして、コッポラさんはいつもパッと見、少女系ポップカルチャー監督みたいに見られてるように思ってたけど、この作品では彼女の思わぬ一面が見えてくる。

ともかく、監督?脚本?の、登場人物をバカにしてる感がすごいのだ。監督は自分が業界ドップリそうそれが当たり前ですが何かワールドの2代目のくせして、のっけから「パパ配給会社なの?業界人じゃん。カッコイー」「だろ?」みたいなこと言わせてるし、真剣な引き寄せの法則とか出てくるしでヤバすぎる。
「盗みは行き過ぎだけど、基本こういう人多いよな?私は全くわかんないんだけどもね。業界ジーン!とかお祈り!とか、盗んでたらイケてて自分おしゃれとか?良かったね。私はぜんっぜん、心の底からわかんないけどもね。」
とでも言いたげな、徹底的に主人公たちを馬鹿にして笑ってる視点をかんじる。

何か盗まれても家主、気づかねーだろ。みたいな豪邸巡りがつづく90分だ。軽率という言葉では足りないほど、かるーい気持ちで主人公たちは窃盗してく。最初は防犯カメラも指紋も気にしないし、何という度胸試しだ…と口に手をやっていたけど、そのうち友達に自慢して喜んだり、盗品売買もうまく交渉できず盗んだことがバレバレだったり、つかまったらつかまったで「ママー!」とわめいてたり、あ、ほんっとうに何も考えてなかったんですね…という事が、存分に描写される。
彼女達にかかれば、人の家の銃も玩具だ。「えへへ―」と友達や恋人に向けてみてエロ小道具にしてみたりと、あくまでこれはおふざけの範疇、イキってる行動の一つなのだ。
少しは理性的だったり、たぶん自暴自棄っぽいグレてる子もいるのだけど、真面目に皆を止めるダサみより、皆で楽しむ方を選んでしまう。

ただ、ラストまで突っ走ってみると、ゾッとしてしまう。彼女達は、逮捕くらいで懲りる事も学ぶ事もなく、TV出演して得意げに入獄経験を話すだけ。見ていると、考えて真面目に成長する方が損なの?とこちらが心折れそうになるし、いっそ、コッポラは彼女達をこういう形でしか話として処理できなかったのかもしれないとすら思えてくるのである。
はな

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