ハ・ジョンウ 窮地に踊れ、標的の男 オールナイト3本目。
オールナイト3本目ともなると、目は冴えてるんだけど、結構ヘトヘト。でもその分、映画のエッセンスというか核がよく見えるという不思議。
まずアクションがいい。それぞれの国の流儀が動きの差になっておもしろい。ちゃんと個性が出てる。戦い方の違いがこんな風にアンサンブルになってるのに気づいたのは初めてだ。きっと他にもそういうアクション映画はあったんだろうけど、その差異をわからせてくれたのはちょっと興奮した。
しかし、肝心のストーリーがなあ…。
ベルリンでロケをするって企画がまずあって、そこに話を寄せていった感じがする。
シナリオが大風呂敷を広げたせいか平板で、なんかつまらない。全体が説明調で上滑りしてる感じなんだよね。
人物に奥行きがないせいで、せっかくの格闘シーンもただのアクションにしか見えない。それぞれのスパイが背負っている国家やしがらみみたいなものが薄い。きっと韓国が舞台だと全然違ったんじゃないかなあ。
国際色を出すのも良し悪しだなと思った。
ほら、ルパン三世とか007ってシーンごとに国が変わったりするけど、住んでるのと滞在してるのとではやっぱり行動の見え方が違うでしょ。土地との結びつき方によって、立ち振る舞いや表情に差が出るはずなんだけど、そういう意味で彼らが駐在してる感じがしないんだよな。日本のテレビドラマの初回の海外ロケのあの雰囲気。あそこまで酷くはないけど、リアリティより違和感が勝っちゃうあの感じ。
ヘトヘトじゃなかったら気がつかなかったかもしれない。感覚が研ぎ澄まされてるから見破れた嘘だったのかも。
そんなわけでオールナイト1作目のチェイサーが映画的リアルに満ち溢れてたのに対して、なんかドラマみたいな広がりのなさにしょぼんとなったベルリンファイルでした。