アロユニ

キック・アス ジャスティス・フォーエバーのアロユニのレビュー・感想・評価

3.9

オタクはスタン・リーに憧れる。


異端なフリして超王道のヒーロー映画しちゃってるのがもはや愛おしい。

前作より軽いノリが薄れて、一定のコメディは保ちながらも結構シリアスな展開が続く。


ヒーロー作品にありがちな、"親の仇"エピソード。デイヴは前作で「現実ではそんなこと起こらない」と悲嘆していたが、皮肉にも本作でその願いが叶ってしまう。

これぞまさに、大いなる力には…なんとやらである。悪に対峙するなら、それなりの犠牲を覚悟せよ、ということだろう。


スーパーヒーローになるしかないミンディと、どうしてもスーパーヒーローになりたいデイヴ。この対比も切ない。

父に定められた道ではなく、自らが選ぶ"ヒット・ガール"になれたミンディ。彼女の覚醒を助けることがキック・アスの宿命だったと理解するデイヴの成長度合も見どころ。



コスチューム姿の自警団が悪党と同一視され、社会の敵へと堕落していくところは、まるで『ウォッチメン』のよう。

デイヴが最後に述べていたように、マスクをすればヒーローというわけではない。悪を本当に"キック・アス"できる真のスーパーヒーローが求められている。

だが、そう語りかけるデイヴの部屋に、「新たなマスク」が姿を見せていたところにグッときた。


『バットマン・ビギンズ』でブルース・ウェインが言っていた。
「ただの人間では無視され、打倒される」
「だが《シンボル》になれたのなら、僕は朽ちることなく、永遠のものでいられる」


キック・アスはまさにシンボル。悪を制し正義をもたらすアイコン。彼がわざわざ「ダサいマスクとコスチューム」にこだわる理由はそこにある。

彼は"ヒーロー"ではなく、"スーパーヒーロー"だから。
アロユニ

アロユニ