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ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょうのtjZeroのレビュー・感想・評価

3.6
え~自分も歳を重ねてまいりまして、「人生50年」のサムライの時代だったらそろそろ亡くなってもおかしくない年代に入ってきました。

そうなると、「結局、自分の人生って~だったな」とか考えることが増えてきました。

映画に関しても、です。
いろんなジャンルを観てきたけど、整理してみると、自分が好きなのは”007”と”ウディ・アレン”だなあ、と絞れてきました。

なんでこんなに極端なんでしょう。
片方は莫大な予算をかけて世界を渡り歩くスパイを描いた大作、もう一方は低予算で街中のイザコザをスケッチしたような小品群。

でも、この両者、実はテーマ的には大いに似通っているのです。
それは、”生と死”。

まずは007。
主人公のジェームズ・ボンドは殺しの許可証を持った諜報員ですから、”死”がそこら中にあふれています。
自分が敵を殺したり、敵に味方が殺されたり…毎日のように死に接していても不思議ではありません。
普通の人間なら、精神に異常をきたしてしまうでしょう。
ボンドが過剰に女好きなのも、死と対極にある”性”をむさぼり尽すことで、何とかニンゲンとしてのバランスを保っているのかもしれません。

そして、ウディ・アレン監督作品。
複数観た事があるかたなら分かると思いますが、ほとんどが”生と死”、または”性と死”を描いた作品ばっかりです。
生(性)に比重が大きいと、軽めのコメディになります。『アニー・ホール』とか『世界は女で回ってる』とか『それでも恋するバルセロナ』など。
死が前面に出てくると、シリアスなドラマになります。『インテリア』とか『重罪と軽罪』とか『マッチポイント』など。

こうしてみると、水と油かと思われた007とウディ・アレンも、”生(性)と死”という大きなテーマを扱っている共通点があります。
アレンが007の番外編である『カジノ・ロワイヤル』(’67年版)に出演しているのも、必然だったのかもしれません。

まあ結局、”生と死”または”性と死”って、近松やシェイクスピアの昔から、ニンゲンが興味のある究極のテーマなのでしょう。
だからこそ、アレンは半世紀近く映画を撮り続けているし、007はそれ以上シリーズを続けていられるのかもしれません。
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