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愛のコリーダのryotaのネタバレレビュー・内容・結末

愛のコリーダ(1976年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

成人映画の金字塔であり、セックス映画として右にでるものがいまだにないすごい作品です。この作品、観た年代によって感じ方も変わるのですが、何度見ても、圧倒されます。

ほぼ全編、セックスシーンです。表現も生々しく、そのままだから、猥褻論争になってしまうのも仕方ないのでしょう。でも、二人に対するカメラのまなざしは実に近くて、二人の世界だけをじっくりと映し出しているので、それを外からあれこれいうのやめましょう。男女の営みをそのまんま映画にすることの意味なんて、よくわかりません。でもこんな映画があることは全然おかしくないし、むしろ貴重に思います。個人的にはロマンポルノやAVのようなエロ目的で見ると、すごい違和感あります。少しずつ近づいて盛り上がって、愛し合い、肉体関係を結ぶような、男女関係のプロセスなんて馬鹿馬鹿しいとばかりに放棄しているからです。

20代に見た時はその背徳感と、阿部定事件としての実録映画と思って高尚なものと勘違いして観てましがた、だんだんと歳を重ねてから観てみると、究極の恋愛映画として感動すら覚えるようになりました。恋愛の駆け引き、なんてもんじゃなくて、ただ相手の肉体を慈しみ、求めていきます(一種のコリーダ状態な訳です)。それがあまりにも素敵で、正直で、羨ましくもあります。相手に苦痛を与え、興奮を覚えてより性的欲求を高めていくことも、羨ましくもあり凄まじくもあり、とにかく圧巻の一言です。

もうここまでくると、演じるとかそんなレベルを超えて、大島渚の魔法にかけらえたような藤竜也、松田暎子です。それも、すごい。こんな作品、ご時世的にも、きっともう現れないでしょう。残念でなりません。
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