菩薩

エンディングノートの菩薩のレビュー・感想・評価

エンディングノート(2011年製作の映画)
4.0
就活を一切しなかった人生なのでせめていい加減終活を始めねばと参考資料にでもなればと思い観てみたが、幸せな人生の幸せな結末過ぎて1ミリも参考にならなくて改めて自分の人生に絶望した、そう意味では泣いたが後は笑いながら観られるシーンの方が多い不思議なドキュメンタリーだった。「家、ついてってイイですか?」のイノマー回を観てしまうと臨終の瞬間にカメラを回せなかったのは…と思ってしまうが、まぁ彼は親族では無い訳だし(だよね?)いざ自分が親の死に目にカメラを回せるかと言われればそりゃ土台無理な話だろうからなんとも言えぬ。なんでこんなにカラッとした気分で観られてしまったかと言えばひとえにご本人の「段取り」の賜物、それを見事に引き継いだ長男さんの貫禄も素晴らしく、奥様の愛も美しかった。主役級の働きぶりを見せるお孫ちゃん達、本人の心残りの大半はこの子達の成長を見守れなかった事であろうが、じぃじとしての務めは最大級に果たせたものと勝手ながらに思う。「上手に死ぬ」と言うのはおそらくこう言う事、死後なるべく誰かの手を煩わせる事なくそれでも出来ない事は「後を頼みます」とバトンを渡し、きちんとした「逝って来ます」を言える事。仕事柄か8ミリの映像が人生の軌跡の様に残っているのがなんとも映画的、一人の物語が終わる瞬間、フィルムが終わる様に旅立って逝った人生本当にお疲れ様でした。残す人は誰一人いないが部屋に残るであろう本やらDVDの後処理の算段だけは付けてから死のうと改めて思った、これが俺にとっては「子供」みたいなものだから…葬式にはおそらく、誰も来ない(そもそもされない…)。
菩薩

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