Omizu

鉄西区のOmizuのレビュー・感想・評価

鉄西区(2003年製作の映画)
3.5
【キネマ旬報00年代外国映画ベストテン 第9位】
いやー、9時間完走!疲れた!
今や世界を代表するドキュメンタリーの巨匠となっている王兵監督の処女作。

政府や役所の勝手な都合に振り回される労働者たち。すべての人を平等に豊かにする共産思想のはずなのに。時折主観ショットが入るところにはハッとした。監督は本当にフラットに撮っているが、社会に対して疑問を持っており、それに応えるように全ての部で「いい顔」が見出されるんだよな。「いい顔」とは映画の言いたいことを体現するような人のこと。

第一部でおばちゃんがやたらと歌が上手かったり、第二部で不良仲間とつるんで恋バナして些細なことで喧嘩する青年(どう見ても17歳にはみえない)とか、第三部で捕らえられた父親を心配する息子とか、どうでもいいのになんか素敵だった。特に第三部の父と息子は泣いちゃったな。

権力者側は見せずに労働者を映し続けることでより悲惨な現状がリアルに突き刺さる。
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