私これ大好きなんだよなぁ…。
好きっていう言葉はこの作品には適切じゃないかもしれないけど、ずっと心に残っている。観たのは2回だけだけど、定期的に思い出す。
罪人を島に送るために高瀬川を下っていく船、高瀬舟
罪人の監視のために船に乗った同心は、弟殺しの罪で島に送られる罪人・喜助が穏やかな表情をしているのを不思議に思い、理由を訊ねる。
そこから明らかになる兄弟の生い立ち、暮らしぶり、そして事件の真相。
テーマは言わずもがな「安楽死」なんだけど、それよりもっと深い所に人間の業がある。
悲惨すぎる話にため息が出るけれど、この兄弟にとって何が最善なのかを考えると、それには法も偽善も不要な気がする。
映画的には高瀬舟の上でのワンシチュエーション。そしてぽつりぽつりとした会話と回想。
しかしたった45分の中でとてつもない共感力が働き、そしてめちゃくちゃ大きな事を考えさせられる。この、映画が素晴らしいというよりも鴎外の作品がよくでき過ぎているとも言える。
貧困は永遠の課題だし、就職難はここ数年顕著だし、介護疲れなんてのも高齢化社会の今1番問題視されることだし、現代の解釈を交えてリメイクしても良い気もする。