ミク

死よ、万歳のミクのレビュー・感想・評価

死よ、万歳(1971年製作の映画)
4.5
冷戦下のスペイン。共産主義者で無神論者である父は家族を崩壊するかもしれないと母により密告される。その事実を知ってしまった息子のフォンド。父は死んだと知らされていたが、刑務所で生きていたと分かり、母への愛情と猜疑が入り乱れて行く。

性に興味を持ち始めた年頃の想像力はメタファーが度を超えてる。知らないものを敏感な感性だけで見る世界は、巨大な何かが襲ってくるような恐怖。叔母に特別な感情を抱き悶える。積もり積もった抑えきれない何かが暴力となり、自分より弱い立場にいる者へ危害を与えるやるせなさに胸苦しい。

分からないながらに、反逆者でいることは決して悪くないと思えた感性で前へ向かう彼の勇気。怪我を負い天使が現れ、残虐で酷い大人の世界から逃げ出す。その先には光があって欲しいと願うばかり。

大人って怖い。
ミク

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