明石です

恐怖と欲望の明石ですのレビュー・感想・評価

恐怖と欲望(1953年製作の映画)
3.4
森の中で孤立した中隊が、生き残りをかけて放浪する1日を切り取ったお話。キューブリック最初期の作品ということで見たけど、これは一歩間違えれば与太。監督自身が出来に満足しておらず、フィルムを回収し劇場公開を自ら辞退したというのもなんとなく頷ける、あと一歩で佳作になり得なくもないけど何となく中途半端な感じが否めない。とくに登場人物の心理描写がひっちゃかめっちゃかで、例えば捕虜にした美女を○してしまうシーンとか、なぜそれが起きたのか、そしてそれが物語にどう影響してるのかも判然としない。

全編通してシナリオの至らなさを(終盤の描写同様)霧にまぶしてぼかしているような、よく言えば前衛的、悪く言えば気取った映画という感じで個人的にはあまり好きになれず。改めて、2作後のハリウッドデビュー作『現金に体を張れ』が傑作であることは言わずもがな、次作『非情の罠』の時点でキューブリックは相当に飛躍を遂げていたのだなとわかる。若干小綺麗にまとまりすぎてるきらいはあるにせよ、あれくらい筋の通った話の方が素直に楽しめるのだなとも思った。
明石です

明石です