こたつむり

恐怖と欲望のこたつむりのレビュー・感想・評価

恐怖と欲望(1953年製作の映画)
2.6
語弊を恐れずに書くならば“文学”のような映画。

完璧主義者と言われた鬼才キューブリック監督のデビュー作…ですが、ご自身で長い間、封印されていたそうです。僕は完璧に程遠い人間でありますが、“納得がいかないものを封印する”…何だかその気持ちは解らないでもないです。

ですが、隠されると余計に観たくなるのが人間の真理。やはり監督のファンでありますから、「監督ゴメンナサイ」なんて思いながら観てしまいました。

と、まあ、ここまでは普通の流れ。
ですが、隠されたものを観ておいて…あー。酷評したら…やっぱり…アレですかね。ゲスとか…鬼畜とか…詰られても仕方ないですかね。でも、嘘は書けないのです。不器用じゃけんのう。

というわけで。
正直なところ、退屈でした。
台詞に頼り切った演出も。
演者をアップで映す演出も。
監督らしからぬクドさ満載で。
テーマの描き方も粗削りで硬質的。
ぐいと飲み込むことに身体が拒否反応を示します。また、低予算だから映像的に地味な展開が続くのもイタい。まあ、上映時間が1時間強というのが救いでしょうか。

…って色々と酷いことを書きましたが。
光る部分も無きにしも非ず。
主人公たちが森の中を歩いているときに心の声が反響する演出は、思わず「ほほう」なんて感嘆の声が漏れました。

だけど、やっぱり。
作者本人がボツにした作品は公表するべきじゃあないですよ。って封印された作品を観たゲスで鬼畜な僕がいう言葉じゃあないですね。スミマセン。
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