都落ちMiyaco

武士の献立の都落ちMiyacoのレビュー・感想・評価

武士の献立(2013年製作の映画)
3.0
加賀藩(いまの石川県)で殿様とその家族の食事をつくる侍(台所方)に焦点を当てた作品。刀の代わりに包丁を持つことから包丁侍とも揶揄されるそうな。はじめは料理に身が入らなかった主人公・舟木安信も嫁いできた春との特訓を通して、料理に対して真剣に取り組むようになる、と。
料理の中にも武士道を感じられる点はとても良いと思いました。しかし、包丁侍ならではといった部分に欠け、他の武士道を描いた時代物と同じような印象を受けてしまいます。藩政をめぐる保守派、改革派の闘争の絡みでも、安信の心は(包丁ではなく)刀を持つ武士としての道を向いており、成り行きで饗応の宴に挑んだ格好になっているのがなんとも。主人公の心情の変化、台所方としての覚悟をする過程をもっと濃密に描いてほしかったです。