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絶叫学級のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

絶叫学級(2013年製作の映画)
4.3
小学校ではクラスのアイドル的存在だった加奈(川口春奈)だが、中高一貫の私立女子校に進学すると、成績やスポーツなど平均的で目立たない存在になっていた。
学校で人気を集めカースト最上位にいるのは、リオ(広瀬アリス)という子だった。ある日加奈は親友の絵莉花(松岡茉優)から、学校の旧校舎にまつわる都市伝説を聞く。
それは、12年前に事故で亡くなった女の子が黄泉となって旧校舎に出て、黄泉に願いをかけると叶うがその代わりに大切なものを失う、というものだった。
加奈はその話を聞いて、リオを思い浮かべながら、自分だったら誰よりもかわいくなりたいと願うと答える。
加奈が軽い気持ちで引き受けた読者モデルの写真が雑誌に掲載されたのをクラスのほかの女子が見つけ、加奈はリオたちに目をつけられてしまう。
これをきっかけに加奈の立ち位置は最下層となり、加奈はそんな状況を打破するために立入禁止の旧校舎に向かい、黄泉(山本美月)に願い事をしてしまう……。
いしかわえみのホラー少女漫画を、映画化。
表向きは、理科室で死んだ女子高生が女子高の女子高生を恐怖に陥れるホラーだが、軸になっているのは「誰よりも可愛く美しく選ばれた存在になりたい」という女子ならではの執念、そして自分よりランクの下の人間をとことん虐げるいじめの恐ろしさと虐げられた人間も特別な存在であろうとすることで、断ち切ることが出来ない差別と迫害の連鎖。
川口春奈演じる加奈は「誰よりも可愛くなりたい」という願いを叶えるために、自分の側に居てくれた松岡芙優演じる絵莉花を見捨ててしまう。親友の加奈に裏切られリオに自分が大事にしているスケッチブックを焼かれた絵莉花も、自分の大事なものを犠牲にしてでも求めるものに目覚め、ダークサイドに引き寄せられる。
早弁している女の子が隠れるトイレに殺虫剤や洗剤をぶちこみ、カラオケボックスに誘い込み辱しめるなど、リオが仕掛けるいじめの残酷さがリアルに描かれているからこそ、加奈や絵莉花が闇に引き寄せられる心情に説得力が増している。
川口春奈、松岡芙優、広瀬アリス、池田エライザ、波瑠、山本美月など若手演技派として活躍する若手演技派女優のアンサンブルが楽しめるし、クライマックスの展開は女子高生同士の友情と複雑な感情が交錯していて泣ける。
隠れたJホラーの秀作。
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