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紙ひこうきのkuuのレビュー・感想・評価

紙ひこうき(2012年製作の映画)
4.0
『紙ひこうき』
原題Paperman.
製作年2012。上映時間サクッと7分。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作、ジョン・カース監督による2012年の短編モノクロアニメ映画である。
セルアニメとコンピュータアニメーション技術の両方が用いられている。

ジョージ(一緒の名前だわ~い)は高架鉄道のホームに書類の束を抱えて立っていた。
一陣の風が吹き、飛んだ一枚の書類がたまたま隣にいた女性・メグ(ディズニーらしい可愛さ)の顔に貼りついて、口紅のキスマークがついてしまう。
思わぬ出来事に微笑みあう2人だったが、言葉を交わす前にホームに電車が到着し、お互い後ろ髪を引かれつつも別れてしまう。。。
会社に着いたジョージを待っていたのは、怖い上司と山積みの書類。
ふと外を見ると、向かいのビルの窓の中にメグがいた。なんとか気づいてもらおうと、ジョージは書類の紙を紙飛行機に折って次々とメグのいる窓へと飛ばすが。。。

短編映画やと、感情を観てる側に伝えるのは難しいモンやろなぁ。
限られた時間の中で、アニメーション(あるいは撮影)を駆使しなならへんさかい、感情が物語の命を奪ってしまうことがあるやろし。
せや、今作品を製作した人たちは、感情だけでなく、様々な複雑な感情の基礎となるあらゆる種類の感情を、どのように構築するかを知ってるんちゃうかと思う。
エモいやな。
若いリーマンが駅で運命的に出会った理想の女子、自信に満ち溢れた女子。そこにキュンですギミック。
たまたま吹いてきた風でリーマンの紙が彼女の顔に当たったことから、彼女と心を通わせることになる。
そこで彼は、その女子が自分の紙にキスマークをつけたことに気づくのです。
嗚於、なんちゅうか、本中華愛らしい。
生けとし生きるものがそうであるように、時間は進んでいくし、彼女は電車に乗り、リーマンを残して。
彼は再会を願ってる。
世界は狭いことを誰もが知っている。
って書き進めたら全体像を説明しちゃって観てない人にフルボッコされるやも知れへんブルブル。
しかし、この1分半の中に、この冬に向かう寒い季節に心温まる多くの感情が込められポッかポカ。
リーマンの表情で臆病さやら、ユーモア、後悔とかが、短い時間の中で表現されてる脱帽っすわ。
物語が続くにつれ、希望、挫折、失望、そして喜びが見えてくる。
背景やキャラは絵のように見えるけど3Dのようにも見えるし、シュールだけどノスタルジックな雰囲気を醸し出してるかな。
加えて、よりレトロな雰囲気にするためにか、ルビー色の赤い口紅がリーマンのオフィスの紙に付いているのを除いて、映画を白黒に、これにより、この2人のキャラをつなぐものに、より集中することができました。
また、このキャラの構築方法は、肉体的には普通の人間には少し不釣り合いかもしれへんけど、なんといっても、久しぶりにスクリーンで見た最もキュートかな。
このリーマンは背はデカめやけど、それが逆に普通の人と同じような感覚を生み出してる。
その中でも特に目を引くんが、彼女の目かな。
野郎がその女子を一目見た理由がわかりました。
彼女の目は、彼の目を奪った小生の心もズキュン。
この女子は、本当にキリッとした優しい顔をしてます。
また、このショートフィルムぐっと締めんのは、作曲家のクリストフ・ベックが手がけた曲。
さまざまなアクションやコメディの音楽を手がけてきたベックが、このような心のこもった作品を提供するなんて、せや、彼は間違いなくこの作品のスパイスになってる。
この音楽は全体で喚起されている感情を助長するものであり、実際に機能してる。
ただ、実際の人生においては、残念ながら、すべての人がこのように突然運命の人に出会う人生はほぼない。
この映画を見てたら、これを読まれてる方の誰もがそういう人生であってほしいと思ってしまう。
それがこの物語の残念なところです。このような出来事はほとんどない。
そんなことがあったら、世界はもっと幸せになるはずなのに。
あと、この2人のキャラにズキュンと惚れ込んでしまったし、プロデューサーにはぜひこの2人を描いた長編映画を作ってほしいと願う。
このカップルは愛に関しては無敵やろし、それは絶対に見たいと思うほどスイートな作品でした。
って、感想が長く🙇。
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