わたふぁ

ラストタンゴ・イン・パリのわたふぁのレビュー・感想・評価

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)
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ブランド48歳頃の悲哀感がいい。ゴッドファーザーと同時期とは思えない演じ分けが見事。
体格がいいのも、この作品の場合は「中年太り」だが、ドン・コルレオーネの場合は「威風」に変わるから面白い。

ヒロインはちょっと前田敦子似。ビッグフィッシュの頃のアリソン・ローマンとか、フルハウスのミシェル役のオルセン姉妹にもちょっと似てるかも。つまりは可愛らしいってこと。

古いアパルトマンの一室にたまたま居合わせただけだが、言葉も交わさず、2人はまぐわう。理由があるとすれば「男と女だから」だろうか。身分の一切を明かさずにこの部屋で会って、たびたび体を重ねる関係が生まれる。

そんなことより、レオーだよ!ゴダールとトリュフォーの呪縛から少し解放された28歳頃のレオーが出てる!マイワールドを持った不思議ちゃんの役が、ここでもよく似合っています。

ベルトルッチらしい厭世的な人物を主人公に据え、人間を一動物と捉えた生々しい性描写が目につく映画だった。

実際に本国イタリアでは当時、猥せつ映画としてポルノ裁判なるものにかけられ、主演のブランドは有罪となり、離婚調停中だった妻には全面的に親権を奪われたという。この映画出演は「役者として拷問のような体験だった」とも後に語っており、痛手の方が大きかったようだ。

見る側としてもなかなかに退屈な映画だったけど、ドン・コルレオーネのための役の作り込み、話し方や老けメイクなどのbeforeを見ることができる作品としては一興だ。

俳優とは恥を晒すものだと、名優が狂人のようになって体現したのなら、こちらはそれを誠実に受け取るまでです。