OASIS

水の声を聞くのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

水の声を聞く(2013年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

東京・新宿はコリアンタウンで、インチキ宗教団体の教祖を務める在日韓国人の女性が人との関わりによって心変わりして行く様を描いた映画。

水や樹木から与えられるメッセージを伝えるという、いかにも安っぽくて嘘っぽい手法で信者を集める宗教団体「真教・神の水」の教祖は、田舎から出稼ぎにやって来たミンジョン。
彼女の元には現代人が抱える病とも言える悩みを持つ様々な信者達が集い、その空間はさながら光と闇、人種の坩堝のようであった。

「例え偽物でも、すがるものが必要」である。
人には生きていく上で何かしらの支えは欠かせないものであるが、それがたとえ目に見えない、手に触れない虚像のような物であっても心の拠り所やオアシスとしての役目を果たすものなのだなと思った。
何かに熱中するのは喜ばしい事ではあるが、それにしか熱をあげる物が無いというのもまた困ったものである。

宗教というものは、そういった人間の心の弱い部分を巧みに操り自分の巣に誘導するような小狡い手法ではあるものの、では逆に極度に心が弱り切ってしまった人達に対して何が出来るのか?と問われると「がんばれ!」「負けるな!」と精神論で語るしかないという。
たとえ松岡修造を彼らの前に連れて来たとしても、心が動かされない自信が彼らにはあると思う。

信者達が典型的に宗教にのめり込んで行く様を描いた前半はユーモラスな部分もあり滑稽さを嘲笑う余裕もあるのだが、それが熱を帯び狂信的になっていくともはや笑えないレベルに。
それでも、どうしようもない主人公の父親ミッキーや中学生の男の子のパートが挟まれる事でだいぶ緩和されてる感はある。

全体的に抜けた描写が目立っていて、ふざけてるのかという部分も多々見受けられた。
ただ、台本上の言葉しか信者達に向けて発する事が無かったミンジョンが、初めて自分の中にある想いを叫ぶ場面はグッと来た瞬間だった。