「裏レート麻雀闘牌録 凍牌」を実写ドラマ化した作品。
あらすじ
裏レート雀荘で稼ぎまくる高校生、ケイ(前田公輝)。
裏では、異国の少女を飼っているとうわさされ、“氷のK”というニックネームがあった。
一方うわさの異国の少女、アミナ(茜音)はケイの部屋の押し入れに、何者からか隠れるように暮らしていた。
1話
ドラマの第1話にありがちなキャラクター紹介をメインとした話。
主に主人公のKの凄さを引き立たせる話なのだが、モブが結構棒読みという事と、演出面と演技の問題からKが小者っぽく見えてしまうのでそこまで凄さが伝わって来ない。
また、Kは勝負が決まりそうになると、
K「震えてるよ。」
といった決め台詞を吐く。
これが漫画だとカッコよく結構決まっているように見えるのだが、実写の場合だと単純にイタイ人にしか見えない。
これは前田公輝の演技力が悪いとかそういった問題ではなく、単に役に合っていないだけだと思う。
現にKが苦しんだり怯えている姿は非常に上手く、原作より遥かに臨場感や苦しみが視聴者に伝わるような演技をしている。
そもそもKは設定上15歳の高校生といった設定なのだが、前田公輝が演じる事により20代にしか見えない。
これにより、大人が高校生のコスプレをして中二病的なセリフを吐くといった事をしているので痛さに磨きが掛っている。
そういえば、ドラマ版の「アカギ」は設定上13歳なのだが、本郷奏多が演じている為に全くといっていい程13歳には見えない。
しかし、演出やセリフの工夫により説得力を得るようになっている。
前田公輝がKを演じるのであれば、ドラマ版「アカギ」のように色々と工夫が必要だったのではないだろうか・・・。
学校にいる姿なんて、学生ではなく教育実習生にしか見えないぞ!
あと、Kが目隠しで麻雀をするシーンがあるのだが、山から牌を引くのが自然すぎるのに少し違和感を覚えてしまった。
「アカギ」の盲目の市川なら盲目での麻雀歴が長いので、山から牌を引くのが自然でも全然違和感がないのだが、Kの場合、目隠し麻雀は多分初めてなので山から自然に牌を引くのはおかしいのではないだろうか・・・。
劇中で雑魚に、
雑魚「本当は見えてんじゃねーのか!!」
と疑われるのだが、こんだけ自然に牌を引いていたら疑われて当然だ。
山をおろおろと探したり、何だったら山を倒すくらいのシーンが1つでもあれば違っていただろうに・・・。
物語の終盤でも違和感を覚えるシーンがある。
Kの対戦相手が色仕掛けをしたり、泣いたりと女の武器を使ってくるのだが、その女性が泣き過ぎてマスカラが落ち、目の周りが真っ黒になってしまう。
正直、化粧などの知識はあまりないのだが今のマスカラって泣いたくらいで全部落ちるのだろうか・・・。
そういや、原作でアミナは東南アジア系なのだが、茜音が演じている為に日本人にしか見えない。
漫画原作の実写版にありがちな意味不明な改変などはしていないし、制作陣の原作に対する愛は伝わってくるんだけどなぁ~。
2話
Kと堂嶋が戦いがメインであり、堂嶋の強さをアピールした話。
あと、意外とKが脆かったりそこまで冷徹でもなかったりと株を下げたような話でもある。
Kのようなタイプが脆い一面を見せるのは全然いい。
だが、見方によっては雑魚クズ共に救いの手を差し伸べたように見せるのだけは止めて欲しかった。
確かに雑魚クズとの対戦でKの雀力が高いという点を視聴者に見せつける事が出来たと思う。
しかし同時にKの最大の長所でもある冷徹さが薄れる事になってしまったのではないだろうか・・・。
出来る事なら、クズ雑魚を全員死確定にするようにした方が、Kの冷徹さがより際立ったと思うのだが・・・。
正直、後ろで見ている関の方が遥かに冷徹な男に思えたぞ。
まあ、実際に関の方がKより冷徹なんだけど・・・。
一方の堂嶋はというと、「アカギ」でいう鷲巣巌ばりの強運や流れを読む直感を用い、Kとは全く違うタイプの凄みを見せる。
国士無双ツモを蹴って13面待ちに切り替えたり、躊躇なく自分の体を賭けたり・・・。
プロ相手にも簡単に3連勝するし、負けの代償として今後一生リーチをかける際、
プロ「スーパーオチンチンリーチ、ラリホーッ ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ 」
と、言わなければならない鬼畜じみた要求をする。
この要求にプロは絶望しているのだが、そんなに強くもなさそうだし華も全然ないような感じがするので、この要求で逆に知名度が上がりそうな気がするのだが・・・。
そういえば、自分の家のようにヤクザが雀荘に入っているのだが、雀荘ってヤクザの入店を禁止してるんじゃなかったっけ??
あと、Kが普通に雀荘にいるのだが、高校生ってフリー雀荘で麻雀出来るんだっけ??
一時期通っていた雀荘では、私が18歳未満及び高校生の立ち入りを禁ずると明記されていたと思うけど・・・。
私が通っていた雀荘が異常なのだろうか・・・。
3話
前半はKと堂嶋が戦いで、後半はKの過去編を描いた話。
前回に引き続き、今回も堂嶋の強運や流れを読む直感をアピールしている。
堂嶋の強運ばかりが目立つように描いているが、何らかんらでKも2回連続で役満を聴牌しているのでKも相当強運の持ち主だと思う。
原作を読み始めた当初はKの記憶力と冷徹さを上手く用い、理詰めの麻雀駆け引きが楽しめるものだと思っていた。
だが、蓋を開けてみれば超人的な能力者のとんでも麻雀であり、少々私が求めていたものとは違うように思えた。
しかし、Kの過去編に入ってからは今までとは雰囲気がガラッと変わり、臨場感や絶望感が一気に増すようになった。
また、ストーリーがドラマ重視になり、麻雀のルールが分からなくても全然楽しめるようにもなっている。
実際、私の妻は第3話の前半までつまらなさそうに流して観ているようだったが、Kの過去編に入ってからは食い入るように観るようになった。
演技に関しても、前田公輝は高校生に思えないくらい老けているという点以外は完璧で、初々しさや怯えている感じが非常にリアルである。
やはり前田公輝はイキがってるキャラクターを演じるよりも、 恐れおののいている役の方が全然似合っているし、こちらの方が遥かに上手く演じている。
また、過去編の適役であるまっちゃんも威圧感が半端じゃなく、本作に登場するヤクザよりも遥かに恐怖を感じるようになっている。
これらの演技力や演出が上手いため原作以上に臨場感や絶望感を感じる事が出来る。
4話
前半は前回に引き続きKの過去編、後半は畑山戦を描いた話。
前回に引き続き、途中までは臨場感や絶望感を感じる事が出来るのだが、関が登場してからは全くといっていいほど臨場感や絶望感がなくなってしまう。
おまけにKが勝ちを確信してからは、生まれたての子鹿のように震えていた姿はなくなり、別人のようにイキがりだすので不快に思えた。
過去編が終わってからは畑山戦に入る。
この話ではKは特に何かする訳でもなく、畑山の強さをアピールするのをメインとしている。
そして相変わらず一人を除いてヤクザに威厳や恐怖感が見られない。
特に状況を説明してくれる便利なヤクザの柳の書く文字がかなり可愛いので、余計に損なわれてしまう。
まるで、女子中学生同士が交換日記をしているような女子力の高い文字だったが、何故男らしい文字にしなかったんだ!!
ただでさえ、麻雀漫画や映画に登場するヤクザは状況を説明するか、麻雀を打ってるキャラクターにビビったり恐れたりするだけで威圧感や恐怖感のない場合が多い。
そんな状態で女子力をアピールをして一体何がしたいんだ!!
ギャップ萌えでも狙っているというのか⁇
5話
前半は畑山戦、後半は1軍に昇格する為の最終テストを描いた話。
前回の話ではKは特に何かする訳でもなかったが、今回の話から本格的に動くようになる。
しかも、堂島戦とはうって変わり小者的な一面を一切見せなくなる。
それどころか、「アカギ」のように狂気に身を委ねた大胆な行動を取る。
堂島戦からそんなに時間は経過してないと思うのだが、この間に何があったんだ!!
堂島戦で進化した様には思えないし、過去編が終わったら急に強くなってしまった。
まるで、「グラップラー刃牙」のようだ。
Kが意味不明な進化をしたのは別にいいのだが、誤ロンしても1000点とあがり放棄で済むといった点はちょっと頂けないのでは・・・。
こんなにヤクザの麻雀って優しくていいのか⁇
私が一時期通っていた雀荘や仲間内での麻雀なら完全にチョンボだったぞ!!
畑山戦が終わり、1軍に昇格する為の最終テストをするのだがその条件が余りにもキツすぎる!!
ネタバレになってしまうので詳細は伏せるが、足を折られた以上に酷い状態で、雀荘にいる何も知らない素人相手に勝つというもの。
相変わらず前田公輝は、もがき苦しんでる演技はリアルで上手く、観ているだけでこちらも痛くなりそうな臨場感を感じるほどである。
とあるハプニングによって更なる絶望感も演出しているし、個人的には全8話の中で一番面白い話であった。
ただ、Kが雀荘に産まれたての子鹿のような歩き方で卓について、打ってる時は白目で痙攣しているのに、雀荘にいる人が誰一人Kの事を不審者だと思わないのには少々違和感を覚える。
私だったら雀荘で白目で痙攣している人が同じ卓に着いたら帰るぞ!
6話
前半は1軍に上がる為の試練で、後半は関と戦う前のインターバル的な話。
特にツッコミ所も素晴らしい点もなく普通の話。
強いて言えば、この世界の住人は何か揉め事がある度に解決策として麻雀を使いたがる事かな・・・。
「哲也」の結婚式場に乗り込んで、
哲也「その結婚ちょっと待った!!」
からの結婚式場で花嫁を賭けての麻雀対決よりはマシだけど・・・。
ヤクザが「これがうちの一軍の戦いかよ・・・。」といってるが、偉そうな事を言ってて知らなかったのかよ!!
7話・8話
関との戦いをメインとした話。
卓に着いた4人全員に見せ場があり、話の流れも面白いようになっている。
特にKは前田公輝の演技力も相まって一番凄みを見せている。
この第7話と8話は全体的に見応えがあり面白いようにはなっているのだが、どういった理屈で相手の待ち牌を読んでいるのかが分からなかったり、意味不明な理屈が多過ぎるように思える。
恐らく原作者はこ麻雀が好きで堪らないんだろうけど決して強くはないんだろうなぁ〜。