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おとぎ話みたいのsawakのレビュー・感想・評価

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)
3.5
「エモさ」を押し付けられるよりよっぽどポカリを飲みたくなるよ。
モノローグのロジカルな文体が山戸結希らしい。

どうしようと思ったとき時には心はいつもどうしようもなく、足りないと思うということはかつて満ち足りたものがあったという証左に他ならないのだが、いつも不在だけがその人の輪郭を象るように、いま私が手にしているものなど何もない。もう時間はなく私は若くないのだなぁと思う、相手の為に何だってしてあげたいという気持ち同様に、相手のために引き裂ける時間というものの、その上限が喉元に迫って初めて、そのあまりの手遅れに気付くのだ。私が彼のためにしてあげられることが、最早何もないということ、そのまま断絶を意味してしまう。私の愛だけが関係性の全てだったのだ。いつでも捧げている。という誓いだけが宙ぶらりんになっていく午後のこの時間すら、おとぎ話のように包まれていくことの悲しみよ。
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