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エリジウムのYYamadaのレビュー・感想・評価

エリジウム(2013年製作の映画)
3.5
【クリソツ映画】比較鑑賞⑦

◆本作:
 『エリジウム』
◆クリソツな他作 (比較対象)
 『オブリビオン』『アフターアース』

〈クリソツ・ポイント〉
・2013年に公開
・荒廃した地球を棄てた人類の
 その後を描く
・ハリウッドトップ俳優主演の
「スター映画」
・作品規模(制作費)は、横並び
  エリジウム   $115,000,000
  オブリビオン  $120,000,000
  アフターアース  $130,000,000
・世界興業収入も横並び
  エリジウム   $286,140,700
  オブリビオン  $286,168,570
  アフターアース  $243,843,130
・わずか4ヶ月の間に北米公開
  エリジウム   2013年8月9日
  オブリビオン  2013年4月12日
  アフターアース  2013年5月31日

〈本作の見処〉
①主演: マット・ディロン
・2154年、ロサンゼルス。環境汚染と人口増加で崩壊寸前の人類は超富裕層だけが居住できるスペース・コロニー”エリジウム”を地球の軌道上に作り上げていた。
・アーマダイン社でドロイドの製造に従事する労働者マックス(マット・デイモン)は、作業中の事故で放射能を浴びてしまい、余命5日を宣告される。
・エリジウムにある人体再生医療ポッドで治療するしかないマックスは、レジスタンス組織と接触し、決死の覚悟でエリジウムへの潜入を試みるが、一切の密入国を冷酷非情に取り締まる女防衛長官デラコート(ジョディ・フォスター)が立ちはだかる…
・普段は優等生キャラが多いマット・デイモンは、本作ではスキンヘッドで欠点の多いアンチヒーローを熱演。また、同じく優位性キャラの多いジョディ・フォスターが完全な悪役を演じているのも見処である。
・また、エリジウムにある人体再生医療ポッドによる人体再生場面(半分吹き飛ばされた顔面の再生)は、今となっては違和感ありの視覚効果ながら、なかなか印象的である。

②ニール・ブロムカンプ 大作デビュー
・2009年公開の『第9地区』にてアカデミー賞4部門にノミネートされ、世界に衝撃を与えたニール・ブロムカンプの監督第2作となった本作。
・ハリウッド大物俳優のキャスティングや特殊効果に要する予算の拡大など、大作デビューの恩恵を得た演出を披露も、南ア共和国に残る人種差別問題を風刺的に描いた前作を踏襲し、本作でも現代の格差社会を地上と宇宙に二極化した近未来世界に投影しており、基本コンセプトは同じである。
・また、日本の『攻殻機動隊』原作者のSF漫画家、士郎正宗のアートワークからの影響は、本作でも健在。スカイラインGT-Rなど、使い果たされ、うるさい作動音にて動きまくるガジェットの数々が、SF世界の描写に説得力を与えている。
・なお、本作では『第9地区』主演シャールト・コプリーが前作から一転して冷酷な悪役を演じているのも興味深い。

③クリソツ作品と比較すると…
○: 格差社会を風刺したストーリー
○: 小汚ない地球の世界観にリアリティーあり。
○: 特殊効果の描写は、ライバル作品に勝る出来。
▲: 「平民の労働者が、子供時代に言われたお告げのとおり成し遂げる」や「脳のデータをダウンロードしたら本人が死ぬ」などの設定がご都合主義すぎる。
▲: 格差社会と自己犠牲を描くストーリーは『第9地区』と同じであるが、作品質は、低予算の前作から後退。
▲: エリジウムの防衛ラインが弱すぎる。
×: 大女優ジョディ・フォスターの使い捨て感あり。
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