『第9地区』で見せてくれた、ブロムカンプ監督の話運びや演出を違う脚本で作ったような感じ。決して駄作ではないが、手放しで褒めるほどではなかった。
『第9地区』の世界観や話運びで似通ってる点として挙げられるのは、ひどい格差社会とスラム街、主人公自身にタイムリミットがあること、主人公の当初目的が途中で変わることetc.
演出面でも爆弾や銃による人体破壊も電撃の様なライフルで攻撃するようなところも『第9地区』で見覚えがある。だが、この辺りは個人的には好みなので気になるほどではなかった。
脚本では結構気になる点が多かった、まずテクノロジーについて『第9地区』ではSF的な要素はエイリアン側のテクノロジーとされる一方、今作では銃器やパワードスーツは若干の現代感を残しているのに医療カプセルが万能すぎてまるで現実感がない。
次に、デラコートとクルーガーの目的が子供じみ過ぎてて乗り切れない。エリジウムを自分のモノにして何をしたいのか、なぜ支配したいのかがさっぱり分からない。
マックスがたどり着く結論もやりたいことは分かるが、それをしたらエリジウムも地球と同じようになるような気がしてならない。
結果として、二-ル・ブロムカンプ監督の作家性の様なものはふんだんに詰め込まれているが、脚本がそれに追いついていない感じ。