あまりにも自国の軍隊を批判したストーリーであるゆえ、アメリカ軍から戦車や武器の借用ができなかったという曰く因縁つきの映画である。
今まで観た戦争映画の中では、本作ほど強烈な映画はお目にかかったことがない。
その大きな理由は、現代でも通じる普遍的なテーマと、主役ジャック・パランスの鬼の形相である。
このテーマとは、結局、上の人間の私利私欲によって、いつも詰め腹切らされるのは下の人間たちだということ。だから「半沢直樹」があれだけバカ当たりしたのだ。
今だって社会に出れば、本作のエディ・アルバートやリー・マーヴィンのようなタイプの上司はざらにいる。
それが平時ならまだ許せるが、人の生き死にするのが当たり前のような状況になった時、優柔不断や己のエゴで無惨にも死地に追いやられる部下にとってはとても堪ったものではない。
ラストのパランスの形相の凄まじさがそれを雄弁にも物語っている。これは単なる恨みを残した顔という代物ではない、声なき弱者たちの慟哭そのものである。