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マレフィセントのおーたむのレビュー・感想・評価

マレフィセント(2014年製作の映画)
3.6
「眠れる森の美女」をおすすめしてくださったフォロワーさんが、本作についてはだいぶ酷評してらしたのを見て、なんとなく遠ざけていた作品。
しかし、マレフィセントのアンジェリーナ・ジョリーだけじゃなく、オーロラ姫でエル・ファニングが出ていると知るに至り、手軽に彼女たちの魅力的な姿を見られる良い機会かもしれないなと思い、鑑賞することにしました。

正直、アニメ版の美点がスポイルされてしまってるな、とは思います。
ビジュアル面での芸術性の高さや、キャラクターの動きの優雅さ、映像に音楽が重なることで生まれる夢のようなシーンの数々、それらの要素が作品におびさせる品格…といった、アニメ版を名作たらしめていた要素は、本作には見られません。
また、マレフィセントの魅力を際立たせた結果、それ以外のキャラクターの魅力が減退してしまっているのも、もう少しやりようがあったのでは…と思えます。
まあ、それもこれも、より多くの人に受け入れられるような作品を志向した結果なのかもしれませんが、かなり大胆な改変を施したにもかかわらず、どこかで見たような作品が出来上がってしまったというのは、なかなか皮肉だなと思いました。

ただ、私が本作を見ようと思った動機は、エル・ファニングのオーロラ姫と、アンジェリーナ・ジョリーのマレフィセントであり、その点については良かったです。
エル・ファニングは、その天性の輝きがプリンセス役にぴったり。
優雅さや、嫌みのない高貴さが魅力的だったアニメ版とはまた違った、まっすぐで無邪気なプリンセスを見せてくれてます。
アンジーも、改変されたマレフィセントのキャラクターに、細かい演技で肉付けをしていて、さすがの好パフォーマンス。
持ち前の存在感もマレフィセントという強烈なヴィランに合ってて、いわゆる「ハマり役」だったように思います。
役者はあくまで作品の一要素に過ぎないとは思いますが、スターを見たいという視点で本作を見た場合、ある程度の満足感は得られるんじゃないか、とも思いました。
本作を牽引していたのは、二人の女優さんでしたね。

ということで、全体として見たときの本作の印象は、良し悪し等分という感じ。
単なる焼き直しにしていないところは良かったと思いますが、そのために行った改変が必ずしも効果的に機能していないのは、イマイチだったように感じます。
私はそれなりに楽しみましたし、決してつまらないとは思いませんでしたが、「眠れる森の美女」も鑑賞した身としては、本作は原典に並ぶところまでは達してなかったかな、という気もしました。
もっとも、アンジェリーナ・ジョリーや、エル・ファニングのファンの方であれば、作品の出来はさておいても必見の一作でしょうけどね。
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