Azuという名のブシェミ夫人

デタッチメント 優しい無関心のAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

4.5
臨時教師として、数々の高校を転々としてきたヘンリー。
非常に不良の多い荒れ放題な高校に赴任してきた彼。
ヘンリーの淡々とした態度は一見無関心のように見えるが、しかし決して冷たくはない。生徒達の彼を見る目も次第に変わっていく。
人との一定の距離間を保っていたヘンリー自身も、出会いによって少しづつ変化していく。

素晴らしかった。
熱血教師が不良を更生させていく、なんて物語ではありません。
教職に就かれている方からしたら、もの凄くリアルな描写なのかも。
いわゆるモンスター・ペアレントやエネルギーをどこへぶつけたらいいか分からない子供、精神的に追い詰められる教師達。
時折挟まれる教師達のカウンセリングのような語りが、ドキュメンタリーを見ているかのような錯覚をさせる。
人が人を育てる。教育する。
これって本当に大変なことだなと考えさせられた。
支配されたくなかったら自分の想像力、意識を磨けっていう授業良かったなー。

とてもとても重たい話だけれど、同時に少し心が軽くなった感じもする不思議。
ヘンリーのスタンスがちょっと自分に似ていると思ったからかもしれない。
私は周囲から『優しい』『怒らない』とよく言われる。
でも自分的には、あまり他人に関心がないだけじゃないかと思ってたりもする。
人に何も期待していないから怒る必要もない。
ヘンリーほど極端ではありませんが。
彼も人に関心を持つ事で、関わる事で、傷ついたり傷つけたりするのを恐れてたんだと思う。
でも踏み込めば救えるし、救われる事もあるんだって事がちゃんと描かれていて良かった。
人との関わりはやっぱり大事ですね。

エイドリアン・ブロディすごく良かったなー。
彼の下がり眉(笑)常に悲哀を感じさせるような表情がピッタリ。
あと一番好きだったのが、サミ・ゲイルが演じていたエリカ!
最初は何だこの子!?って思ったけど、すっごくキュートで、彼ら二人のシーンはとても素敵でした。
絶望だけじゃない、希望だってある。