まぐ

ハングオーバー!!! 最後の反省会のまぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

コメディとして笑えたかといえば前作ほどではなかったけれど、そもそもハングオーバーのギャグが肌に合わない自分にとって、単体の映画としての面白さは負けていないかそれ以上でした。

まずなによりも1、2と解決しないままずっと残って来た様々な小さな疑問(アランはダメ人間のままでいいのか?スチュとジェイドの関係はどうなったのか?チャウとアランはどういう関係なのか?等)をここに来て一気に回収しており、胸のつかえが取れた気分です。
特にアランの人間性のヤバさは、これまで登場人物たちから甘やかされずっと放置されて来た問題だったので、完結編である今作でそのエピソードを中心に持って来てくれてよかったです。思えば1でアランが薬を盛ったのも2でマシュマロに薬を混ぜたのも、元を正せば孤独(またはそれを恐れる心)ゆえのことでした。今作でも冒頭で父が死ぬ時にアランは「俺に構わないでくれ」という曲を聴いており、フィルも恋人ができれば変わる、と言っていました。ペットにキリンを買う描写もそれに通じると思います。孤独こそがアランの問題の根源であり、フィルたち友達がアランに良い影響を与える、ということは実は1からずっと描写されていました。
そして今回ついにアランが結婚することになり、花嫁の元へ友達に囲まれて笑顔で向かうアランがラストシーンでした。ハングオーバーとは思えないくらい良いシーンです笑
まだ直すべきところはあるけど、頑張れアラン!

今作が前作に比べて優れている点、一番は緊張感だと思います。
なによりも今回の話は結婚式に間に合わないどころの騒ぎではなくダグの命、ひいては狼軍団自身の命をかけたドッグファイトであるというのが前作との大きな差です。「時間制限による緊迫感」が前作より伝わりやすくなっていると思います。
また、シーンの見せ方、サスペンス演出がとてもよかったと感じました。刑務所の大乱闘から始まるのもサイコーでしたし、ベガスのホテルのシーケンスの「いつチャウが出るのか?」とハラハラさせる光の点滅の演出1つで、あのシーンがぐっと魅力的なものになっていました。スチュが薬屋に薬を貰いに行くシーンやマーシャルの屋敷のケーブルを切るシーンなど、とにかく何をするにもスッと上手くいかない、というのも前作にまでにない魅力だと思います。前作までは回収しなくてはならない伏線が多く、1つ1つのシーンはスッと上手くいかざるを得なかったのですが、今作は回収しなくてはならない伏線をほとんど前半で貼らず、終始1つの目標に向かっていたのでシーン1つ1つの完成度が高かったと思います。前半までが量の魅力だとしたら、今作は質の魅力。
魅力といえば、やっぱりチャウは魅力的でした。掴み所がないようでいて、チャウもまたアランと同じ孤独を抱えた人間だったことがわかり、少し切なくなりました。孤独を共有していたアランとチャウ。しかしアランは最後にチャウに変わりたいと言って別れを告げます。何がアランとチャウの道を分けたかというと、やっぱりフィルら友達なんでしょうね。


この映画に予想される文句は「ハングオーバーしてない!」というもの。ほんと、最もだと思います笑
ただ、この映画は1から伏線を張っていたことからわかるように、多分最初からこう終わることが決められていた気がします。
1から3まで長い映画だと考えて楽しむのが個人的にこのシリーズを一番楽しく見るコツかと思います。
まぐ

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