ジャン黒糖

ハングオーバー!!! 最後の反省会のジャン黒糖のレビュー・感想・評価

3.5
人気シリーズ第3弾にして最終作。
トッド・フィリップス監督とお馴染みメンバーによる3度目のどたばた劇が描かれる。

【物語】
42歳にしてニート、みんなのトラブルメーカー・アランは、金・家・物、あらゆる意味で頼り切っていた父を亡くす。
親の資産で自由にわがままに生きてきた彼に業を煮やした義理の兄であり親友のダグは"狼集団"こと、お馴染みメンバーのフィル、ステュに相談し、更生施設にアランを入れることを考える。
アラン自身仲間たちの後押しもあって施設に入ることを決めるが、4人で施設に向かう道中マフィアに襲撃され、ダグを人質に、前作・前々作でも登場した"犯罪王"チャンを探し出すよう脅されてしまう。
果たして、チャンはどこか。

【感想】
ちょ!!今回はお酒飲まないのかーい!とタイトルとのギャップに突っ込んでしまう。
が、ダグが人質に取られた瞬間、思わず自分は笑ってしまった。
4人のなかでダグが人質に選ばれた理由は正直物語上まったくない。

ただ、シリーズを知る我々観客からすればダグが人質に取られたことによってフィル、ダグ、アランというお馴染み3人という座組みが出来上がり、お酒というファクターこそないが、ここから物語は動き始めるのだということがわかる。

この、物語を始めるためにダグがあっさり人質になってしまうところも、その後もマフィアと同行して衰弱していく不憫な表情も個人的にたまらないものがあった。笑

そして、取り残された3人も、シリーズ3作目ともなると画面から漂う安定感が心地よい。
正直トッド・フィリップス監督のギャグって良い意味で悪趣味な、下劣っぷりが特徴的で、第1作目初見時は赤ちゃんを使ってオ○ニーさせるシーンなど、ちょっと引いてしまったが、3作目まで付き合ってみるとやっぱこの3人のバランスが良い。

ダグという、一番冷静沈着でまとめ役になりそうな柱を失った時の、ちょっと危険な魅力を持った仲間想いのフィンと短気で細かい所を気にしがちな真面目で堅物なステュ、問題児・変わり者というかもはやちょっと度を越した異常者のアラン。
この3人のバランスが、物語を推進していくギャグとしての強度もバランスも良いからシリーズは3作まで続けてこれたのかな、と思うしシリーズ通して観ると3人それぞれのキャラや関係性も少しずつ変化していっていくのがやっぱシリーズの軸として面白い。(ステュは段々大胆になっていく笑)


トラブルメーカー・アランの更生≒これまでの失敗を省みて成長する姿が描かれるため、これ以上彼らのおバカなお酒失敗談を観られなくなるのは少し寂しいが、後半の舞台はシリーズ1作目と同じラスベガスだし、エンドロールの途中にはファンをニヤリとさせるサービスもあるので、物語の締め括りとして満足度が高い。

ただ、これが星4以上の高尚な良作とか、大好きな作品かというとそうではなく、良い意味で3.5くらいの(笑)、気軽に観られる作品。

第1作が登場して以降、『21オーバー最初の二日酔い』や個人的には青春映画の大傑作と思っている『プロジェクトX』など、この手の"お酒の失敗"を描いたコメディ映画が出てきたことからも、このシリーズのその後のコメディ映画が作ったムーブメントは少なくないと思う。
忘れた頃にもう1回くらいはまた"狼の集団"を観たいかも。
ジャン黒糖

ジャン黒糖