老人の世界は、目を開けて見るながいながい夢のようだ。
電話を探し続ける老婆、他人の言葉を話し過ぎて自分の言葉を失った元ラジオDJ、火星人と戦う老婆、自分ではなにも出来ず微笑む老人、旦那に寄り添い何処までも共に行く妻、「いんちき」と囁かれると僅かにはにかむ老人、その老人達を助けることで金を稼ぐ老人。
老いることに美しさや綺麗な画なんてきっとない。老いることは、たぶんこういうことだ。でもきっと、大丈夫。
大丈夫だよ。
きみのとなりには誰かがいるさ。そんなに哀しいことはないさ。あと少し、ここにいてね。
そんな優しいフィルム。
これは、やられたなあ。